確証バイアスと共鳴箱効果

インターネット上では、特定のユーザーが拡散された自分の主張に合致するものだけを選び取る現象が起こる。少数が同じ意見の交換および拡散を図るため、見かけ上は多くの同意者がいるように見る。特定の情報のみが正しいと信じる「確証バイアス」が生まれ、それらが閉塞的なコミュニティーで増長していく「エコーチェーバー」(共鳴箱効果)が起こる。こうした人々の限られた情報の集約による世間の分断に危機感を抱いていると永倉克枝は述べている。 インターネット上にある大量の情報をユーザーの痕跡等を数学や統計学等を用いて分析する手法を計算情報科学という。W.クワトロチョッキらはそれを用いて情報拡散の仕組みを捉え、「確証バイアス」の存在を突き止めた。それは特に出所が不明の情報に対して起こりやすい。また、妥当な反駁は逆に自身の主張を強めることも分かった。ここで重要なことはも情報の真偽より共有であることが分かったのだ。これらは、ネット上で広まった事実とは異なる情報の訂正や拡散防止が困難であることも意味している。 今回の研究は、膨大なデータ量を分析しているところに特筆すべきものがある。何年もかけてビッグデータを解析した客観的な結論だからだ。こうした見識を持っていれば、ネットユーザーが唱える極論は一部の限定的な意見であり、例えば、彼らのいう「私たち」は私たちではないのである。もう「共感ごっこ」は止めた方が良い。エコーチェンバーの中は実際には自分と少数しか同調者はいないのだから。 しかし、ロジックとは皮肉なもので、この意見そのものが「確証バイアス」の典型で、私が「共鳴箱の内側」という人が出てくるだろう。そう言われてしまえ

今年の漢字 2017

今年の漢字2017 日本漢字能力検定が主催する今年の漢字が発表され、「北」に決まった。金正日によるミサイル発射などの挑発的な「北」朝鮮の言動を指している。その他にも、「北」街道産のじゃがいお不作や競馬の「キタ」サンブブラックの活躍、「北」海道日本ハムの大谷翔平の大リーグ移籍、などが挙げられるようだ。 「北」と聞いて、真っ先に思いつくのは北朝鮮だが、それ以外はなかなか結びつかない。ただ、「北」の問題は日本だけではなく世界的にも関心を集めている問題であるから、影響力を考えれあと妥当かもしれない。個人的には、「将」だと思う。北の「将」軍様だけではなく、携帯電話不正疑惑、藤井聡太四段の29連勝、羽生竜王の永世七冠など将棋の話題が多かったからだ。 さて、ここからはGHF’03から続いている毎年恒例の「私の今年の漢字」シリーズ 2008年「転」 2009年「停」 2010年「躍」 2011年「結」 2012年「蓄」 2013年「修」 2014年「再」 2015年「二」 2016年「合」 今年は残念ながら「落」だろうか。気分が滅入って「落」ち込むことが多かったような気がする。でも、物事は考えようだ。デザイナーのコシノヒロコさんは「試練の時ほどチャンス」と捉えた。バブル崩壊後にパリコレを撤退しても、腐らずに努力しで檜舞台に戻ってきた。他者の幸せのために自分の信じた道を突き進む姿は模範である。人は(私は)周りに支えられて生きているのだから。 さて、あなたの今年の漢字は? ※参考文献 日本漢字検定協会、(2017) 読売新聞、(2017 5 23)、「試練の時こそチャンス デザイナー コシノヒロコ

未来を予想するとは?

天気予報は科学を用いた未来予想だ。しかし、そういったいくつかの事柄を除けばこれから起こることを高確率で想定するのは難しい。科学者たちにとって「未来」はどのような過程で推測し、そこにどんな意味を見出すのだろうか。 SF作家のK.S.ロビンソンの考察が面白い。SF作家は預言者ではなく、現在の流れを総合的に判断した上で比喩を作っているのだという。その判断方法として、例えば、物事が等加速で進む「直線外挿」、急激な上昇のあとに頭打ちになる「ロジスティック成長曲線」、正弦波(サインカーブ)やパターンの存在しない「非線形ブレークポイント」を挙げている。そして、起こりえないことは起こらないという基本原理を用いて、現在の状況と想像からなる未来像を3次元的に浮かび上がらせる。ゆえに、シンギュラリティーによるAIが人類の歴史を支配するという言説は、それ自体がAIの急激な進化の実感または恐怖を示していて、ある意味でその脅威はすでにシンギュラリティーが起こっている証しかもしれないという。 翻訳の世界では、技術革新が目覚ましい。翻訳会社のT.ギャリーは、初期型の機械翻訳は限界にきているが、ニューラル翻訳、すなわちAIによる翻訳制度はかなり高い精度まできているという。言語で生計を立てている人間には死活問題だ。しかし、彼は日本での英語学習の帰結は人格形成と英語の持つ汎用性であると述べている。どんな優秀な計算機が普及しようが、現に子どもは数学を学んでいるのと同じ理屈だろう。 あぁ、良かったと胸をなで下ろす英語教師は、すでにシンギュラリティーの真っ只中にいるということだろうか。ひとまず確実性の高い未来としては、歴

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