『IT革命』-ネット社会のゆくえ- 〜論理が予言を可能にする〜

2001年は、インターネットの回線がダイヤルアップからADSLに変わっていった頃である。当時は、ネットに常時接続できるという利便さに驚いたものだ。ノートパソコンは重くて持ち運びはできなかったし、携帯電話も3Gの時代である。そんな頃に、情報技術の見識からこれからの論理的に未来を展望したのが『IT革命』である。 本著では、IT革命とは「誰でも情報が持てること」であり、メディアビッグバンを「放送と通信の融合」と定義している。工業革命における「公」(中央集権)と「私」(家庭)の間に「第3の社会」としての情報の流れが出来るとした。そこから、コミュニケーションの変容を「家電から個電(テレビ中心が個室での機器の操作)」ととらえ、さらに贈与・互酬行為を基盤とした「オンラインコミュニティー共同体」の創世から、高層ビルの出現とITの融合した移住空間・情報都市への構築およびその課題等をダイナミックかつ詳細に解いている。 この書物の内容は多くの人にとって賞味期限が切れていると感じるだろう。実際、ITの進歩は日進月歩であり、「現在」の技術的な部分では役に立たない部分も多い。しかし、特筆すべきなのは、この当時のITに関する学術的知見から将来の動向や人間社会を導き出している点である。この時点ですでに、アップルウオッチやテロおよびヘイトスピーチ、オンラインショッピングや電子マネー等まで暗に予期しているのだから驚きだ。だから、最終章に書かれている、突拍子もない高層ビルとオンライン共同体が融合された「空中都市」が数十年後にあたりまえになっているかもしれない。 本書で広く深い論理的な思考は、時間軸のすべてにおいて人

英語教育の転換点

英語を勉強する目的は何か。それは英語をコミュニケーションの手段として、または英語というツールを用いて自らの目的を達成することだ。英語を使うために英語を学ぶ。そんな当たり前のことが通じないのが日本の英語教育である。従来の英語教育は、入試や考査で点数を取ることにファーカスし過ぎている。そして今、日本の英語教育は入試改革とともに大きく舵を切ろうとしている。 現行の過度な読解力重視から読む、聴く、書く、話す、の4技能を図る試験に移行する。具体的には英検やTEAPといった民間の試験を活用することになる。早稲田大学、広島大学、東洋大学などはすでに導入済みだ。特にTEAPは4技能統合型で学習指導要領に即しているアカデミックで、かつ論理的な思考力を測るものとなっている。英検準2級から準1級のレンジを対象にした、テクニック不要の「普通」を目指している。 昨年、安河内哲也氏にあったときに、現場の最大の問題は同僚性だとおっしゃっていた。指導する側に新方式に対して極度のアレルギーがあるし、現行の教育課程、システムなどは簡単には変えられない。視点がどうしても「加点法」ではなく「減点法」になってしまっているのである。チームとして取り組む土壌が出来にくいので、抜本的な改革が必要なのだ。教員がチームとなって同じ方向を向くのは本当に難しい。 他にも課題は多い。受験料に関する公平性はあるか。英検のCSEとTEAPやTOEFLの違いはあるのか。第三者機関の評価は本当に妥当なのか、指導技術や教材の開発は間に合うのか、などだ。しかし、課題にばかり目を向けてはいつまでも「英語が使えない日本人」から脱却できない。国策から現

Featured Posts

Categories

Archive

Copyright © 2016-2020 Seize your Sky All Rights Reserved.