Tom
- Oct 22, 2019
時代変遷の論点整理 2019〜昭和、平成、そして令和へ〜
元号が令和に変わり、新しい時代が幕開けした。今日は即位正礼殿の儀である。昭和とはどんな時代だったのか、平成をどう生きてきたのか、そして令和の展望とは何か。東京オリンピックを出発点に考えてみたい。 刈谷剛彦は著書の中で、東京オリンピックに関して保坂正康の言葉を引用して「高度成長の可視化」と端的に述べている。日本女子バレーボールがソ連に3連勝した姿をその高度成長期と重ねたのである。それからおよそ半世紀を経て、オリンピック開催が平成の終わりに決まり、令和2年に実施される。 学研の小論文研究会講師である小堀精一言うように、社会的問題について向き合うときに、比較・相対化によって社会の姿を描いてみることが重要である。そこでまずは昭和を概観する。武力放棄を憲法で規定した日本国憲法の制定を境に、以降は高度経済成長の時代に入っていく。つまり、平和に関しては戦後の私たちの精神は基本的に変化してない。一方で、バブルの崩壊とグローバル化が同時に進み、競争原理による医療や教育、地域、世代間、AIといった格差社会が到来した。ここでは共通した価値観の喪失がり、SNSの登場によ
Tom
- Oct 14, 2019
衝撃の1012
朝刊には今後の日本教育を大きく変えることになるであろう出来事が載せられていた。一つは、「大川小 遺族の勝訴確定」である。東日本大震災の際に津波で計84人が犠牲になった大川小学校の対応に過失が認められた。この地域ではハザードマップ上では津波予想浸水外であったにもかかわらず当時の地形を踏まえれば被害を予測できたと言う。この震災に関連して同様のケースで判決が割れたこともある。専門家が指摘するように、教員は地域住民よりもはるかに高いレベルの防災知識と経験が求められることになった。子どもの命が最優先であることは自明の理であり、今後は学校行政と現場がこれを踏まえてどのように対応していくか。相当の難題である。 この日は台風19号が夜から翌日の未明にかけて関東・東北を直撃した。全国で21もの河川が氾濫し、テレビには目を覆いたくなる光景が広がっていた。近年は異常気象の結果、水害が増えており、河川工学の専門家である池内幸司は「すべての大雨に対して河川の氾濫を防ぐのは不可能」だと言っている。言い換えれば、ここまで膨大な費用を費やした現在の治水設計・対策では限界が来てい
Tom
- Oct 3, 2019
職人技は不滅である
私の祖父は大工だった。家には様々な工具が置かれていて、子どもなりに職人さんは経験則による技術が物を言う世界だということは分かっていた。大工の世界では、師匠から見て学ぶのが当たり前というのだから厳しい世界である。木材、湿度、傾きなどマニュアル化できない多くの技術が求められたのだろう。 一方で、ビジネスとしては境地に追い込まれている業界も少なくない。例えば、寄席文字書家は10人といないらしく、筆匠の人口も年々減少しているという。早稲田学法の「職人の世界」で紹介されていた。最も衝撃的だったのは、桐箪笥職人はそれを作るだけではやっていけず、かつての家具を修復し、別の家具に再生する注文に移りつつあるということだ。いずれにしても、機会による大量生産の中で職人は厳しい現実を生き抜いていかなければならないようである。 今後は、AIの時代だと言われている。だからこそ人が作り出す唯一無二の製品が求められるかもしれない。嗜好品としての価値がさらに高まるのではないかと思っているのだ。実際、インターンシップで生徒を引率しある企業を訪問したときに、手作りにこだわる革製品生産