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「なんとかする」子どもの貧困〜できることを少しずつ〜

  タイトルの「なんとかする」には、筆者の貧困問題に対して「1ミリでも進め」ようとする意気込みが込められている。貧困という実態を把握し、たとえある実践の行動が最適解ではなくてもその行動を尊敬しようとする姿勢がある。第一章で子どもの貧困問題の概論や理論面が説明され、それ以降は個人、自治体、企業から法制度の支援例に言及している。

 湯浅誠は08年には年越し派遣村村長として活躍。その後、内閣府参与、法政大学教授を経て、東京大学特任教授。同時に、全国子ども食堂支援センターむすびえ事務局長、反貧困ネットワーク事務局長等の社会活動家として活躍している。本書にはそうした広い経験と深い知見による心の叫びを感じられる。その核は格差社会、特に子どもの貧困を自己責任論ではなく、すべての人が今後の社会のために解決すべき自分事として捉えるということだ。

 子どもの貧困問題は他人事ではない。昭和の一億総中流時代がから平成の格差社会の拡大で、多くの人が失業と貧しさとは紙一重の生活をしている。社会のセーフティーネットも弱いことを実感する。高等学校の教育現場でもそれは顕著だ。大学受験で合格が決まっても入学金を支払えないために納付直前で進学を断念した子、それ以前に最初から大学や専門学校などの進学できない(つまり民間就職しか方法がない)生徒もいる。もちろん個々の努力や結果がある程度反映され、一定の自己責任は追う社会であるべきだし、自分もそうしてきた。それでも、家庭環境や地域社会が荒んでいるだけではく、本人の能力の能力や発達の発達の習熟度など本人だけではどうにもならないことがある。学校側が本人の取り組み次第では人生の選択肢が増える、負の連鎖から抜け出せると思うだけでは解決できないということだ。じゃあ、どうするか。

 早稲田大学には、校友会(卒業生の会)があり、会員の早稲田カード利用が本人に負担なく奨学金になる制度がある。これは取り組みやすい。他にも校友会給付奨学金や校友会トップアスリート奨学金などもあり、2020年度の支援総額は2億3600万円以上だ。このように支援者の負担が小さく、持続可能で細やかな制度なら誰でも取り組みやすい。できることからできるだけやってみる。そして恒常的にそうした問題意識を持つことが大切だと気付かせてくれるのが本書である。


※参考文献

湯浅誠、(2019 9 10)『「なんとかする」子どもの貧困』角川新書

早稲田大学校友会、(2021・10)『早稲田学報』

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