top of page
  • Tom

『だれかのまなざし』〜娘を持つパパのまなざし〜

 本作は野村不動産グループによるイベントで限定公開された6分40秒の短編CM作品である。数ヶ月後の『言の葉の庭』と同時上映され、現在(2022年8月時点)ではYouTubeなどで視聴できる。モチーフは「家」であるが、そこに「家族の絆」や「未来」といったテーマが織り交ぜられている。監督は新海誠で、代表作に『ほしのこえ』、『秒速5センチメートル』『君の名は』『天気の子』などがある。ちなみに、劇中に『言の葉の庭』と同じシーンが使われている。

 新海誠作品であるので、背景描写が美しいのは言うまでもない。そして、彼のもう1つの特徴である緻密で奥深い脚本がはこの短編小説でも際立っている。新人社会人のあーちゃんこと、岡村綾と父の関係を彼女の子ども時代を含めて猫のみーちゃんのナレーションを中心に描いていく。娘の成長をペットという客観的視点を持って述べさせることは猫からだけではなく、別のな視点からも共感を得られるようにしている。

 劇中で父は猫の思い出を聞かれて、娘の子どもの頃の話をして主題歌のキーフレーズが流れる。「まなざし」が交錯する場所が私たちが個々に持つ本当の居場所なのだろう。昔に自分が家族と呼んでいたものは、今この瞬間のそれとは物理的には大きく変化しているかもしれない。それは将来にもきっと同じことが言えるのだ。変わることのない大切な「ここ」があることは決して当たり前ではない。

 それにしても娘を持つ父には特に思春期以降の回想はなんとも言えない寂しさを持つ。まだ娘は小さいからパパとの距離は近いけれど、これからたどるべき「まなざし」の一部は父親にとっては切ない。それが父親の宿命だと分かっていても。



















(子ども時代の回想で登場する千駄ヶ谷駅近くの坂)


※参考文献

新海誠、(2013・2・10)『だれかのまなざし』、コミックス・ウエーブ


3 views

Recent Posts

See All

『Mission: Impossible』(1〜3)〜渾身のアクション・スパイ映画〜

ミッション・インポッシブルは、主演はトムクルーズである。彼が演じるイーサンハントがスパイとしてほぼ不可能なミッションに挑むアクション映画である。プロットが見事で手に汗握る展開であり、特筆すべきなその中の様々な危険なアクションをトムクルーズがやってのけてしまうことである。以下、格差品のあらすじ、見どころ、考察等を書き連ねていく。各作品に関して、「~~~」以前は紹介、以降⑧はネタバレを含むのでご注意く

『HIGH SCHOOL MUSICAL』3部作~学校教材でも活用できます~

『HIGH SCHOOL MUSICAL』は、ディズニーが手掛けたミュージカル映画である。1作目は2006年、2作目は2007年、3作目は2008年に公開された。ただし、2はTV版のみで劇場公開はない。ちなみに、主人公の2人の距離がリアルに距離が近いのは、当時の2人は交際していたからである。以下に概要・講評を載せておく。 『HIGH SCHOOL MUSICAL』 主人公のTroy(トロイ)は、バ

Comments


Featured Posts

Categories

Archives
bottom of page