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『感染症と文明 ー共生への道』〜新型コロナウイルスを理解するために〜

 コロナ禍から約3年がたった。世界システムの負の側面が浮き上がり、様々な対策が講じられている。現在も情勢はまだ不安定で、新型コロナウイルスが様々な分野・場面で議論されている。個々では議論がされやすいが、そもそもの感染症の本質を歴史的・医学的に知識として持っておくことが必要だ。

 筆者の専門は国際保険医療、及び熱帯感染症学を専門とする長崎大学教授で、本書が出版された前年にハイチ大地震、翌2011年に、東日本大震災の起こった。筆者はそれぞれで専門的知識を使って医療活動を行なった。元タレント・政治家とは別人物であり、本書の論点も政治ではない。

 それにしても感染症がこれほどまでに世界史に大きな影響を与えているとは思わなかった。学校や参考書等で記述される歴史的事実の裏側にある、生身の人間が受けた影響の大きさを物語っている。人類がどれほど感染症に運命を左右され、それが不変の真理のように繰り返されてきたことを十分に理解できる。副題として「共生への道」がついているが、その結論を導くための論考というよりは、医学的知見による医療歴史学的側面が強い。

 あるテーマに関して議論する際に、目前の事象だけを分析するのではく、類似例から歴史的・専門的に分析・考察することが重要だ。本書で詳細されている多様な感染症と文明の歴史的理解はその新型コロナウイルスな知見となるものである。従って、そのロジック整理の「教科書」として大いに役立つだろう。



※参考文献

山本太郎、(2011 6 21)、『文明と感染症 ー共生への道』、岩波新書

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