『AIと法の時代』〜AIと法の難問を把握する〜
ディープランニングなどの技術発展により第三次AIブームが来ている。どのような倫理観や規制によって共存していくかも世界的な課題である。以前から私は法とAIの関係性に興味があったので、『AIと法の時代』を手に取ってみた。
著者の小塚壮一郎は、上智大学法学科大学院教授等を経て、学習院大学法学部の教授だ。商法・会社法を専門にしている。本書では現代のAI社会を「モノからサービスへ」「財物からデータへ」「法/契約からコードへ」という変化ととらえ、それが私法、公法とどのような関係性・合理性等を論じている。さらに筆者の研究領域である「コーポレートガバナンス」を通して、法の原理と極限を提示している。
本書は、AIと法に関する専門書は共著が多いなかで、法の歴史や原理から AIと法全体を俯瞰し、その課題を浮き彫りにしたロジックにしている手法が見事だ。著者は法律に関心のある高校生にも読めるよう配慮していると書いてはいるものの、広い知見を凝縮しているためかなり難解である。ただ、各章・節の中で提示される今後の課題は問題意識を明確にしてくれ、最後に簡潔に要約もしてくれている。
政府は、教育現場では生成AIの活用方法や事業者に対するガイドラインを議論し、提示している。私たちは現実の日常生活、政府及び国家、そして仮想空間の3つの空間において合理的かつ倫理性のある法制度を構築する必要があるが、本書でその基本的な概要が分かるだろう。
※参考文献
小塚壮一郎・(2019・11・12)、『AIと法の時代』岩波書店
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