コンピューターリテラシーの本質と展望

 独立研究科の森田真生はエッセー州の中で次のように述べている。「コンピューターはあまりにもユーザーに寄り添い過ぎてしまった。便利になることはありがたいが、結果として私たちは、生まれ変わろうとする主体的な意欲を失っているのではないか」(『数学の贈り物』)コンピューターリテラシーを身につけ、高い水準で思考できる人間育成の必要性を説いている。私たちはこうした状況で社会をどのように構築していけるだろうか。

 従来の文字文明との違いを考えたときに、コンピューターを扱う際に蓄積できる情報量は人類にとっての大きな財産になるだろう。経済活動から自然現状など様々な情報を集約できる。今後はそうしたビッグデータを国際的に活用する方法を検討したい。例えば、医療現場で集めた情報によってタイムリーに現状分析と治療方針を決定できるだろう。

 文字だけではない。動画はエンターテインメントだけではなくコミュニケーションの方法も変えた。出版できる人の数は限れていたが、今や個人のSNSなどで簡単に動画付きの情報を発信できる。そこでの情報を鵜呑みにせず、他者尊重と批判的思考を持って、社会問題の共有と課題解決を模索することが可能だろう。

 そうなると教育はより重要な役割を担うことになる。教育機関は、従来のような知識伝達を伝達するだけではなく、それらを活用する機会を提供することが求められるのだろう。コンピュターを使いこなすとは、それらを主体的に思考したり表現することことを意味するのだろう。それを妥当・公平に評価する方法論も今後の課題だある。

※参考文献

森田真生、(2019 3 22)、「変身」(『思想としての新型コロナウイルス禍』より)ミシマ社


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