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同じ方向を向いた英語教育を

 新学習指導要領は、小学校が2020年度、中学校は2021年度、高等学校は2022年度で順次実施されていく。その要点は、児童・生徒の「生きる力」を高めるために、主体的・対話的な学び(アクティブラーニングと同義)で学び方も身に付け、カリキュラムマネジメントを充実させることで、学力の3要素(=「知識及び技能」、「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」)をバランス良く育成することだ。その目玉の一つが小学校3・4年生の「外国語活動」及び5・6年生の「外国語」(新教科)である。

 「主体的・対話的で深い学び」による授業改善のポイントを池田周・愛知大学教授は、「小学校でコミュニケーションを図る『素地』や『基礎』をその目的に合わせてしっかり構築すること」で「それぞれの学校段階でどのような資質・能力の育成を目指すのかをしっかりと理解しておくことが大切」と説明している。つまり、初等・中等教育の外国語科の目標は、「実際に言語を用いた意味のある活動(言語活動)を行いながらコミュニケーションを図る資質・能力を育成すること」であると指摘する。

 こうした流れを踏まえて、大学入試改革が意図され、センター試験に代わる大学入学共通テストが実施された。英語の試験は、配点や試験内容が変更されることになり話題になった。しかし、問題の設定場面や出題意図が「日常化」を意識しすぎて複雑で癖のある出題になってしまった。一方で大学個別の試験では読解中心で、時事問題や研究文献などのアカデミックな内容である。従って、進学指導に重点を置いた場合は、リーディング中心の授業の方が効率的であり、このことが4技能の統合的な言語活動が浸透しない障害になっている。つまり、現状の大きな問題点は、小学校以降の英語の流れを高等学校の出口指導には大きな隔たりがあるということだ。

 文科省の有識者会議は、大学入学共通テストへの英語民間試験や記述式問題の導入を困難であると述べたが、大学入試改革は完全に骨抜きとなった。結局は、英語の試験に在り方は、小学校の導入から大学を含めた大きな課題なのである。これらの解決の方向性としては、総合型選抜から一般受験まで4技能の統合を測定する試験(英語による事前書類や当日の技能試験等)を課すことが考えられる。そして、そのための国による制度設計やそれに必要な財政的支援を考えるべきである。小学校から高等学校、大学まで同一方向を向いた英語指導が求められているのである。



※参考文献

日本英語検定協会、(2020 5 21)、『英語情報 2019年 第2号』

読売新聞、(2021 6 22)「共通テスト、英語民間試験と記述式は『実現困難』…25年以降も断念へ」

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