変わりつつあるゼミ
日本の「ゼミ」と呼ばれているものの起源は、19世紀の後半で、書籍で埋め尽くされた部屋で教授と学生が議論を通じて研究を深めるものに起因すると早稲田大学の沖教授は述べている。ただ、最近では大学の大衆化や専門教育を超えて学を深めるべきという風潮があるようで、ゼミの形は多様化して行っているようである。
大学院のオリエンテーションか何かで教室に集められてとき、廊下で後ろから私の名前を呼ばれたときは驚いた。それが私の指導教官だった。当時の教職研究科は、その教授にお世話になりながら教育臨床実習Ⅰ~Ⅲに取り組む。各自でテーマを決めて研究するのが学部の教育実習とは異なる。
最終的には臨床実習で試みた理論と実践の融合を実践報告書や実践事例という形でまとめた。だから、卒業論文という形ではなく、各学校にも広報をした後に、十終日掛けてミニ学会のような報告会を実施した。これらが「ゼミ」に起因する教職研究科ならではだったように思う。
教授はある分野の全国校長会の会長だったけれど、温かみのある実践家としての指導を重んじていた。早稲田大学という比較的大きな大学であそこまで細かく指導してもらえたのは非常に貴重な時間だった。雪の降る2月、研究会発表前に研究室でリハーサルをしたのが良い思い出だ。
最近、研究室の近くを通ることがあったので、寄ってみると校舎が変わっていた。どうやら数年前に立て替えたらしい。教職研究科の研究室はどこかに移動しているのだろう。あのボロボロの建物が趣があったのだけれど、時代とともに変わっていくだろう。
(かつてのお世話になった研究室の場所)
※参考文献
早稲田大学校友会、(2022・4)『早稲田学報』
Recent Posts
See All大堀精一は、「学研・進学情報」を監修し、小論文入試問題分析プロジェクトチーム編集長も兼任している、まさに小論文のスペシャリストである。『小論文 書き方と考え方』の著者で、私がこの分野で最も尊敬している方である。その方の新書が発売されたので、早速購入して読んでみた。...
夏の教育セミナーは新型コロナウイルス感染防止の観点からオンラインが続いていたが、4年ぶりの会場実施となった。ただ、私は諸事情で会場に参加できず、目の前で感じられる講師の熱弁や分科会の模擬授業を体験する機会などを得られなかった。ただ、オンラインでも東京及び大阪での実施を録画再...
第9回夏の教育セミナー(日本教育新聞・株式会社ナガセ主催)が今年もオンラインで行われた。例年以上に講座が豊富で、収穫が多く勉強になった。今年の目玉は、高等学校の新学習指導要領の施行に伴い、令和7年度の共通テストの内容とそれを考慮した授業改善だろう。特に、指導と評価の一体化の...
Comments