新型コロナウイルスとAIの論点整理 2021

 「WHOといった世界的機関から個人レベルまで問題意識の共有と、持続可能な施策と実行力が求められているのである。」(『新型コロナウイルスの理論整理 2020』)自分の文書を読み直して愕然としてしまった。結語の内容は、ほとんど解決されていないどころか、問題は一層深刻化しているからだ。そこに往年の「格差社会」と最新のAI議論が入り込みんだ。社会全体で問題意識の共有がより必要な時代となったきたように感じる。

 まず、新型コロナウイルスは、私たちが気づきにくかった側面を露呈させた。国際的なサプライチェーンによる制限やインバウンドの後退等によって、各国の経済活動は大きく後退した。経済効率を優先することでリスク管理を怠ったことに起因する。今後はサプライチェーンに新たな付加価値を加えるバリューチェーンといった政策が求めている。世界規模の新型コロナウイルスは、一国でどうにかできるものではない。グローバルな問題にグローバルに対応することが基本で、むしろに自国の利益を最優先する「強い」政策は逆効果である。また、新型コロナに起因する社会不安や不満は確証バイアスをより強め、ポスト真実の流れを加速させた。相手を尊重しつつ批判的に議論することの線引きができない人が増えているだけでなく、社会との接点が減ることによって、社会のコミュニティといった市場原理とは異なる次元にまで影響を与えている。そのような状況の中で、日本はエイビデンスのない緊急事態宣言を繰り返し、医療機関や経済的負担などを押し切って東京オリンピックを強行してしまった。国民の声はおろか医師会といった全国的な団体(政治力)でさえも一部の利権や組織の論理の暴走が止められなかった。このことに対して、大きな無力感や絶望感いった感情が全国に蔓延しているのではないだろうか。それでも私たちに求められているのは、冷静に考え、議論を続け、あきらめずに行動することだ。個人レベルで行動を起こし続けるローカルな原動力こそがグローバルな問題を解決する希望の砦である。

 さて、AIに関する社会問題の意識はその裏で大きく進歩している。数年前にAIが日常に入りこむで、「AIv.s.人間」という構図ができ、そのための教育の在り方が問われた。AIの持つ利点と欠点を吟味し、人間が人間らしく活動する方法を模索する議論が起こった。現在のとことろ、シンギュラリティによって人間を征服する見方は暴論であり、AIの弱点、例えば人間特有の曖昧さや複雑な言語活動といった領域を補う活用法を模索する必要がありそうだ。今後は、電子テクノロジーのアーキテクチャの管理や方向性、法執行のコード化やプライバシーの保護、メタメディアとコンピューターリテラシーといった議論が登場してくるだろう。ここで、教育を一例に挙げると、学校現場(中等教育)では、ICTを活用した授業改善の波が押し寄せている。ClassiやOffice365などを使用したオンライン及びクラウド上でのに学習支援や成績管理等の時代に入りつつある。しかも、東京都は今秋、主要教科においてAIによる学習アプリを試験的に導入することになった。いずれにしても、生徒はPCを所持する時代となり、知識の習得よりも活用に重きをおいた学習をすることになる。学校や教職員の果たすべき役割も不易と流行に従って変わっていくのだろう。

 近年はSDGsによる視点から社会問題が語られることが多く、地球温暖化対策やジェンダー論が活発に議論されることも多い。特に、日本ではSDGの目標項目「10.人や国の不平等をなくそう」、言い換えれば「格差社会」の問題が根強い。健康格差に関しては介護問題を含めて課題が山積だ。

 いずれにしても、私たちが直面する巨大で複雑な社会問題に対して、常に自分ごととして捉え、希望を持って議論をしていくことが求められている。「自分のことばを持ってリアルに生きる」(『小論文の書き方と考え方』)ということだ。新型コロナウイルスやAI問題といった社会問題に主体的に関わっていかなければいけない。

(スターバックスの新型コロナウイルス感染予防対策)



※参考文献

Tom、(2020 8 16)『新型コロナウイルスの理論整理 2020』

大堀精一、(2018 5 10)、『小論文の書き方と考え方』講談社選書メチエ

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