「zero コロナ」〜緊急事態宣言再発令の提言〜
どこかへ旅行に行くとして、何も食べることのないプランを計画すると、相当味気ないものになるだろう。もちろん個々の例外や事情はあるが、いずれにしても新型コロナウイル感染予防の観点からすれば、旅行に行くことや外食を勧めることが感染拡大に影響を与えることは素人でも想像できる。政府の対応は、後手に回っているというより、感染拡大を助長してしまっていると言えるだろう。もう緊急事態宣言の再発例が必要なフェーズであり、一度完全に押さえ込んでからの徹底管理が最善の策である。長い目で経済を優先させるために、短期集中の勝負に出るべきだ。
東京大学などの研究チームは「Go to トラベル利用者は感染リスクが高い」といった(査読前ではあるかが)調査結果を発表した。しかし、こうした結果を発表する前に、このような事態になることを想定できなかったのだろうか。菅首相になってから2ヶ月半振りの記者会見では新しい施策はなかった。現場は「Go to イート」は各都道府県知事の判断に委ねる仕組みとなっているらしい。完全に責任放棄であり、仕方なくそれぞれの自治体、例えば、北海道知事が不要不休の外出を控えるように外出自粛を呼びかけている様である。しかし、人の行き交いが一程度行われて以上、新規感染者数は途切れないだろう。もちろん政府は人命と経済の観点から、限られた財政と人材で難しい判断を迫られているのは分かる。確かに国民全員が納得するような万能薬はないだろうが、ここまで無責任・責任転換では状況がますます深刻になるばかりだ。
ニュージーランドの強硬で強い政策こそが私たちが学ぶべき教訓である。2020年4月1日に新規感染者が150人だったが、ロックダウンの解除は4月20日で一桁になった。一方、日本は、6月1日の解除時点で39人だった。しかし、この数人の差は大きい。なぜなら、ニュージーランドでは、感染の「拡大」ではなく、感染「撲滅」を指針にしていたからだ。だからこそ、8月4日に新規感染者の家族4人が判明したとき、徹底的な隔離による「撲滅」を遂行した。ニュージーランドでは、第一波での危機管理意識が高く、初動の対応の重要性を知っていたのだ。
今、やるべきことは明確だ。「with コロナ」でも「after コロナ」でもない、「zero コロナ」である。「撲滅」を目指し、新規感染またはクラスター発生時に完全に追跡できる人数(かぎりなく0に近い数値)にし、そこからの徹底した初動体制を築くことでウイルスをコントロール「急がば回れ」なのである。
ワクチンの開発や手段免疫が出来るまで引き伸ばそうとする限り、感染拡大の波が何度も押しよてしまうだろう。不完全ではあったものの、日本は第一波をコントロールする力があることは証明されている。「アベノマスク」を配る財源は、再度の緊急事態宣後の金銭的な補填や医療体制・初期対応システム構築に費やすべきだ。素早く緊急事態宣言を出し、何を制限し、どの行動が許されるべきか。最低限の社会システムを稼働状態にしたまま、「zero コロナ」を目指すべきだ。
※参考文献
Medrxiv、(2020年12月3日)、https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.12.03.20243352v2、
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