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英検の新設級導入、反対!

 実用英語技能検定協会が、2023年9月29日に英検準2級と2級の間に新設を導入するというのプレスリリースを出した。結論からいうと、新級創設には強く反対する。確かに高校2年生次に目標設定の効果はあるかもしれないが、受験料、ネーミング、資格的価値等から鑑みて反対である。

 新設級(以下、「A準2級 [Advanced 準2級] )の導入の概要は、5級が中学1年生終了程、同様に4級が2年生、3級が3年生、準2級で高校1年生、準2級が大学2年、1級が大学4年生となっている。すなわち、ここで注目すべきことは、高校2年生に適した級がなく、受験生(高校生)のモチベーション維持が難しいというのが協会側の理由である。

 受験生はTOEICとは異なり、級別で試験を受けるため受験料及び勉強対策で費用がかかる。また、そもそも高等学校は義務教育ではないので、「大学」と同様に合格に費やす時間が一定間隔である必要はない。ちなみに、準1級以上の合格目安は高等教育に適当に合わせているだけに見え、実際、1級は大学4年レベルをはるかに超えている。最後に、そもそもネーミングはどうするのだろうか。

 ここからは、中等教育後期の現職の視点から、現場の感覚を述べてみる。まず、高校受験では上位者が準2級を持っているように、大学入試の最上位者(ベネッセ英語偏差値70程度以上)で準1級、中上位者(同58程度以上)で2級合格が私の体感だ。つまり、総合型選抜等の人物重視では、A準2級では総合選抜等ではあまり芳しいアピール材料にはならない。そこで勝ち抜くには年度第1回(6月実施)までに2級以上を合格することである。つまり、この観点からは高校及び大学入試の両方において価値がないのだ!あまり級が多すぎるとその分だけ個々の価値も下がってしまうおそれもある。それでも受験しようとする生徒は、短期目標を設定できる意識高い系の生徒だろう。否、学校や塾等で受験を勧められて受動的に受けるのであれば、それは協会にとってはビジネスの成功を意味するだけだ。残念な話にはなるが、日本の学習者(主にA準2級対象者)は他国に比べて実用生活で英語を使用する必然性が低く、英語の勉強は外的要因、つまり試験が学習のモチベーションになっている。受験者にとって、その試験が資格として有用であるかどうかは死活問題だ。

 ここは一度撤回して、2級のレベルを落とせば良いのではないだろうか。そもそも大学以上の級(準1級以降)の基準は曖昧なのだから、無理にそれ以前を等間隔にするはない。むしろ2級の難易度を高校2年生の夏以降に合格できるようなレベルにすれば良い。そうなれば、2年生のモチベーションはあがり、3年生は受験勉強等に集中もできる。その中で最上位者の準1級は輝く価値になるだろう。この改定は2025年度からの実施で、まだ問題の素案もない。引き返すには十分な時間がある。協会にはぜひA準2級を再考して頂きたい。



※参考文献

日本英語検定協会(2023 9 29)、「英検に新設級(準2級の2級の間)導入のお知らせ

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