謹賀新年 2022
あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。
突然見知らぬ人がお茶をしませんかと家に上がり込み、家中のものを食べ尽くして、そのまま帰っていく。それでも残された家族は動揺もせず、次に同じ客がきた時のためにその分まで食料を買うのだ。ただし、その客は結局、二度と現れなかった。
これは、"The Tiger who Came to Eat"(『おちゃをのみにきたとら』)という童話の要点である。この他にも衝撃な点は多いだが、はたして作者は子どもにメッセージとして何を伝えたかったのか。困っている人がいたら分け与えなさいということ?童話にしては奥が深すぎて、読み聞かせの後に頭の中には「?」しか残らなかった。
作者及びその時代背景などを調べてみた。作者はジュディス•カー。ナチスから逃れるためにイギリスに出国したという。本当の意味は、ナチスと関係が強い計算された反戦文学ではないか。
同時に、『海の沈黙』を思い出した。ドイツ将校が突然家に押し入り、数日滞在した後、最後は戦地に向かう物語だ。設定状況違うものの、この童話でいえば「虎」はナチスであり、「家」はそれを無抵抗に受け入れるしかない「一般市民」だ。「虎」は2度と現れなかっただか、その後に戦死することを暗示している。最終ページで「虎」が別れの言葉をひたすら繰り返しているのが怖い。
もっとも童話の作者は、「虎=ナチス」説を否定している発言しているらしい。彼女は子供の向けた童話であることを強調したかったのだろう。しかし本線は戦争のアンチテーゼであると考えている。書くという行為は強烈な社会変革やメッセージなりえる。「書く」ということは私たち人間の、そしてでインタネット社会の大きな特権であり、私たちの大きな力の武器なのである。
※参考文献
Judith Kerr、(1968)、『The Tiger Who Came to Eat』HarperCollins
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