常識を疑え!
「市役所の仕事にどういうイメージがありますか。」大学院時代の教授が学生にこう問いかけた。たいていの回答は、仕事が固い、柔軟性がない、といった否定的な意見だった。しかし、そこで教授がこう切り出した。「逆に言うと、役所の人の仕事は信頼性や正確性が高いということではないですか。」
同じ話はいくらでも当てはめられるだろう。「自然環境問題は地球にとって喫緊の問題である。」答えは、必ずしもイエスではない。なぜなら、環境問題はあくまで人間にとっての脅威であって、むしろ野生の動植物や大地は人間がいないほうが破壊されないかもしれない。村上龍の『13歳のハローワーク』一節にもある。
常識を疑うには、様々な背景知識が必要だ。政治・経済に始まり、歴史・人類学から数学や文学の総合的知見が必要だ。知らないことは語れないのだ。一見自分には関係のない、興味のないことでも、それがどこでどのように自分の関心ごとに結びつくかは分からない。知識がないと情報。基盤社会では弱い立場に置かれてしまう。
批判的な視野で物事を考えることで、物事の本質を見抜ける。語れる人間を目指したい。常識を疑おう。
参考文献
村上龍、(2010)『13歳のハローワーク』
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