top of page

地方に生きる


 最近、若者の中で地方移住の回帰があるという。もちろん田舎の暮らしにはビジネスや生活を営むにはいくつかのデメリットがある。しかし一方で、インターネットや新幹線の新設などに伴って新しい地域社会を創造しようとする傾向もある。そこには、コミュニティーを新たに構築していこうとする大きな気概が見える。

 もっとも過疎化した田舎や地方は必ずしも存続の危機に晒されているわけではない。人口が減少していっても、ある一定のラインを超えたときに、そこには定住者の復興の動きが働くからだ。逆に、都会は人の数は増えているが、そこで起こっている人間的なつながりは乏しく、皮肉にも都会こそが「過疎化」していると考えられるかもしれない。

 地方移住に覚悟は必要だ。第一に、仕事だ。都会にくらべ求人数も賃金もビジネスチャンスも不利な点は否めない。また、そのコミュニティーに溶け込めるかはその特性に依るところも大きいだろう。異なる環境に入ることは簡単なことではない。

 ただ、1ついえることは、地方移住で輝いている方々は、その地域を良くしようという社会貢献の精神が強い。その地域のために何が出来るかを真剣に考えているのだ。そういった気持ちが新天地での豊かな生活の要因の1つであることは間違いないだろう。

参考文献

早稲田大学校友会、(2016) 『早稲田学報 4月号』「地方にいきるということ」


5 views

Recent Posts

See All

『世界一しあわせなフィンランド人は幸福を追い求めない』〜「人生の意味」をアカデミックに考える〜

フィンランドは世界幸福度ランキングで2年連続(2018年・2019年)で世界一位にランクインした。それ以前にも、フィンランドはフィンランド・メソッドで世界的な注目を集めていたため、家族が紹介してくれた。目次を眺めると、1部「人間はなぜ人生に意味を求めるか」、2部「人生の意味とはー新時代の視点」、3部「より意味深い人生のために」となっている。 この本の主題は、人生に意味に関する考察だ。そしてもしあな

「完璧=自己ベスト」

ストレスコーピングやメンタルヘルスの観点からすると「完璧」を求めることはしばしば自身の負担になることが多い。精神疾患を患ってしまう人はこの傾向が強く、また完璧を求めて自分を追い詰めてしまうこともある。ただ、その「完璧」を求めることが良い方向に進むこともあるらしい。 自転車競技の河野翔輝選手は、早稲田大学在学中にプロチームに所属し、全日本選手権トラックなど、複数のタイトルを獲得している。今後の目標は

『夜と霧』(新版)〜「生きる意味」のコペルニクス的転換〜

人は辛い状況に置かれた時に、その因果関係を追求する傾向があるのだと思う。例えば、困っている従業員は「なぜこんな会社のために働いているんだろう」と考える。個人的には、言うまでもなくあのアウシュビッツの強制収容所に比べたら比較にならないほど幸運であるが、それでも「なぜ生きているのだろう」と考えることが多い。従って本著は「生きる意味」を当事者として読めたように感じる。 『夜と霧』の主人公は、第二次世界大

Featured Posts

Categories

Archives
bottom of page