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地方に生きる


 最近、若者の中で地方移住の回帰があるという。もちろん田舎の暮らしにはビジネスや生活を営むにはいくつかのデメリットがある。しかし一方で、インターネットや新幹線の新設などに伴って新しい地域社会を創造しようとする傾向もある。そこには、コミュニティーを新たに構築していこうとする大きな気概が見える。

 もっとも過疎化した田舎や地方は必ずしも存続の危機に晒されているわけではない。人口が減少していっても、ある一定のラインを超えたときに、そこには定住者の復興の動きが働くからだ。逆に、都会は人の数は増えているが、そこで起こっている人間的なつながりは乏しく、皮肉にも都会こそが「過疎化」していると考えられるかもしれない。

 地方移住に覚悟は必要だ。第一に、仕事だ。都会にくらべ求人数も賃金もビジネスチャンスも不利な点は否めない。また、そのコミュニティーに溶け込めるかはその特性に依るところも大きいだろう。異なる環境に入ることは簡単なことではない。

 ただ、1ついえることは、地方移住で輝いている方々は、その地域を良くしようという社会貢献の精神が強い。その地域のために何が出来るかを真剣に考えているのだ。そういった気持ちが新天地での豊かな生活の要因の1つであることは間違いないだろう。

参考文献

早稲田大学校友会、(2016) 『早稲田学報 4月号』「地方にいきるということ」


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