• Tom

テロとグローバリゼーション


 今年に入ってテロが各地で頻発している。パリの同時多発テロからベルギー連続テロ、日本人も巻き込まれたバングラデシュテロなど、終わりが見えない状況である。フランスのトラック暴走テロでは、監視下でない人物が日常の乗り物を凶器にした点で衝撃を与えている。その背景にある社会心理は何か。

 グローバリゼーションという言葉が使われて久しい。インターネット技術が発達し、情報は瞬時に世界を駆け回る。公共輸送機関が発達し、人間の行き来は国境を超えている。世界は「1つ」に向かっているように見える。一方で、イギリスがEUから脱退した。賛成派は国家主権や移民反対を主な理由に掲げた。日本でも、一部ではあるがヘイトスピーチなど排他的言動が目立つことがある。

 メジャーな動きが起こるとき、その裏で相容れないマイナーな流れが生じる。例えば、ネットユーザーは、現実世界でグローバル化に乗り切れなかった不満をナショナリズムという形で噴出させている。イデオロギーに支配される中で、自分の主張をテロという形で過激に表現することは、グローバル化の負の側面だと言える。

 しかし、それはもちろんテロを正当化する理由にはなりえない。無関係な人々の命を奪うことは、人間として最低の行為だ。我々が目指すべきは、自他を認め合う気持ちを持つことだろう。広がる世界の中で、違いを尊重する言動を心掛けるべきである。


22 views

Recent Posts

See All

『生命と記憶のパラドクス』-福岡ハカセ、66の小さな発見-〜教養エッセイ集の見本〜

本書は66のエッセイ集から成り立っているが、理系分野の難解な用語はない。そもそもこれらは『文藝春秋』の連載記事を再編集したものだ。一般読者を想定して書かれているから、3ページ程度のエッセイはさらっと読める。 著者は福岡伸一氏で分子生物学者を専門としている青山学院大学教授だ。テレビ等にも出演し、本人の名前がクイズになるほど著名である。ベストセラー『生物と無生物の間』以外にも著書が多い。 それにしても

3度目の緊急事態宣言に思うこと

早稲田大学の総長である、田中愛治は2020年度の入学式辞(実際には9月にオンライン)で「未知の問題に対する解決策を自分の頭で考える力」を「たくましい知性」、「国籍・人種・言語・宗教・文化・信条・障がい・性別・性的指向などが自分と異なる人を受け入れ、理解し、敬意を表すことができる感性」を「しなやかな感性」と呼んでいると述べている。新型コロナウイルスの終息が見えない時代により求められる力と感性であろう

Featured Posts

Categories

Archives