テロとグローバリゼーション
今年に入ってテロが各地で頻発している。パリの同時多発テロからベルギー連続テロ、日本人も巻き込まれたバングラデシュテロなど、終わりが見えない状況である。フランスのトラック暴走テロでは、監視下でない人物が日常の乗り物を凶器にした点で衝撃を与えている。その背景にある社会心理は何か。
グローバリゼーションという言葉が使われて久しい。インターネット技術が発達し、情報は瞬時に世界を駆け回る。公共輸送機関が発達し、人間の行き来は国境を超えている。世界は「1つ」に向かっているように見える。一方で、イギリスがEUから脱退した。賛成派は国家主権や移民反対を主な理由に掲げた。日本でも、一部ではあるがヘイトスピーチなど排他的言動が目立つことがある。
メジャーな動きが起こるとき、その裏で相容れないマイナーな流れが生じる。例えば、ネットユーザーは、現実世界でグローバル化に乗り切れなかった不満をナショナリズムという形で噴出させている。イデオロギーに支配される中で、自分の主張をテロという形で過激に表現することは、グローバル化の負の側面だと言える。
しかし、それはもちろんテロを正当化する理由にはなりえない。無関係な人々の命を奪うことは、人間として最低の行為だ。我々が目指すべきは、自他を認め合う気持ちを持つことだろう。広がる世界の中で、違いを尊重する言動を心掛けるべきである。
Recent Posts
See All人は辛い状況に置かれた時に、その因果関係を追求する傾向があるのだと思う。例えば、困っている従業員は「なぜこんな会社のために働いているんだろう」と考える。個人的には、言うまでもなくあのアウシュビッツの強制収容所に比べたら比較にならないほど幸運であるが、それでも「なぜ生きているのだろう」と考えることが多い。従って本著は「生きる意味」を当事者として読めたように感じる。 『夜と霧』の主人公は、第二次世界大
令和5年度の共通テストのリーディング及びリスニングの講評をする。本年度の平均点は、リーディングが53.8点で昨年度より7.9点低く、リスニングは62.3点で2.9点高かった。 リーディングもリスニングも共通テスト独特の傾向があり、トリッキーな問題も複数含まれている。例年通り「入試英語」という範疇の中でも癖のある問題だ。私立大を第一志望としている受験生は、共通テストは受験の最初の関門であって、あえて
波浮 「背脂しょうゆラーメンの極み」 伊豆諸島の一つである神津島。東京からおよそ180km南西にある人口1900人ちょっとの小さな島である。かつて神々が集まって水の分配を話し合ったとされる伝説の島だ。真っ白な浜辺が続く前浜海岸、海底まで透き通った赤崎遊歩道。スノーケリングやダイビングに最適なエメラルドグリーンの海である。そして島の中央には独特のフローラと伊豆諸島を眺められる天上山。さらに多幸湾やあ