• Tom

オリンピックと平和


 2016年の夏は、世界中で多くの人がリオデジャネイロ・オリンピック釘付けになった。一度でもそのスポーツをやったことがあれば、その美技に魅了されたことだろう。かつて2度の世界大戦で中止になったことを考えれば、こうした国際的なスポーツ大会が開かれることを願わずにはいられない。まさに平和の祭典であると言える。

 一方で、この舞台裏では人間の悲しい闇の性が渦巻いていた。未然に防がれたものの、テロの惨事の可能性は十分にあった。観光客だけではなく、金メダリストが乗った車まで強盗に襲われたというのだから恐ろしい。また、不正をしてまでメダルの数で国力を示そうとする姿勢に興ざめするところもある。はたしてメダルの数や国力誇示にこだわる明確な合理性あるのあろうか。

 日本に焦点を絞っても、大会開催中に隣国の挑発が激しい。領土問題に関しては国際法も遵守されない状況で、首脳陣の関係改善のためのコメントも虚しく聞こえる。広島・長崎の原爆の日では一向に世界の足並みは揃わない。終戦記念日でも「純粋に」祖先の魂を敬う行為すら憚れる国際情勢である。

 近年、グローバリゼーションとナショナリズムのバランスが大きく変わりつつある。2020年の夏季大会は、東京だ。私は、とりわけ、テロとの戦いを含めた国防や安全保障、「おもてなし」のオリンピックを目指す最重要課題の1つであると考える。


8 views

Recent Posts

See All

『生命と記憶のパラドクス』-福岡ハカセ、66の小さな発見-〜教養エッセイ集の見本〜

本書は66のエッセイ集から成り立っているが、理系分野の難解な用語はない。そもそもこれらは『文藝春秋』の連載記事を再編集したものだ。一般読者を想定して書かれているから、3ページ程度のエッセイはさらっと読める。 著者は福岡伸一氏で分子生物学者を専門としている青山学院大学教授だ。テレビ等にも出演し、本人の名前がクイズになるほど著名である。ベストセラー『生物と無生物の間』以外にも著書が多い。 それにしても

3度目の緊急事態宣言に思うこと

早稲田大学の総長である、田中愛治は2020年度の入学式辞(実際には9月にオンライン)で「未知の問題に対する解決策を自分の頭で考える力」を「たくましい知性」、「国籍・人種・言語・宗教・文化・信条・障がい・性別・性的指向などが自分と異なる人を受け入れ、理解し、敬意を表すことができる感性」を「しなやかな感性」と呼んでいると述べている。新型コロナウイルスの終息が見えない時代により求められる力と感性であろう

Featured Posts

Categories

Archives