• Tom

限定的「安楽死」を!


 先日、私に英語を指南してくださった方の奥様が病気で亡くなられた。その壮絶な闘病生活を見聞き限りでは、日本には「尊厳死」だけではなく「安楽死」も認めるべきではないかという気持ちが込み上げてくる。実際、ヨーロッパやアメリカでは安楽死が認められているところもある。

 「安楽死」の利点としては、余命僅かの患者が過度の心身、および金銭的負担を軽くできることが挙げられる。健常者には想像を絶する苦痛の先に治癒がないのであれば、終わらせてあげたいと思うの家族の気持ちもある。生きる権利があるならば、人生の最期を選ぶ権利もあると主張する人もいるだろう。一方で、問題点として、殺人ほう助の可能性が挙げられる。僅かな希望を諦めてしまう治療家庭での問題も挙げられる。人為的であるために、医療の現場で倫理的に苦しむ人なども出てくるだろう。

 そこで正当な理由のもとに限定的に「安楽死」を認めるべきである。第一に、医学的観点から医者が末期患者であることの証明を必須とする。第二に、行政書士等が法律及び社会通念上の観点から問題のないことを地方自治体に代理申請する。最後に、ケアマネジャーやカウンセラー等の「安楽死」の特別な資格を持った専門家が本人及び家族と意思確認をし、総合的かつ独立的に判断を下すことである。

 死生観の問題は、宗教や個別の事情に鑑みると非常に難しい問題である。しかし、議論が一向に進まない中で絶望に苦しんでいる人がいると思うとどうにもやりきれないのである。最初は非常に限定的なものでも良い。「自殺」でもなく「他殺」でもない「安楽死」の概念が求められているのだ。


5 views

Recent Posts

See All

『生命と記憶のパラドクス』-福岡ハカセ、66の小さな発見-〜教養エッセイ集の見本〜

本書は66のエッセイ集から成り立っているが、理系分野の難解な用語はない。そもそもこれらは『文藝春秋』の連載記事を再編集したものだ。一般読者を想定して書かれているから、3ページ程度のエッセイはさらっと読める。 著者は福岡伸一氏で分子生物学者を専門としている青山学院大学教授だ。テレビ等にも出演し、本人の名前がクイズになるほど著名である。ベストセラー『生物と無生物の間』以外にも著書が多い。 それにしても

ニッポンの健康 〜新しい医療概念の時代へ〜

厚生労働省は2016年の新規の癌患者は99万人を超えたという統計データを発表した。これは国立がん研究センターによると、すべての病院に報告を義務化したことによって初めて得られた集大成のデータだと言う。癌の治療法は年々向上しているが、それでも多くの人が深刻に捉える病気の1つであろう。にも関わらず、今までは各県ごとに医療機関が任意のみデータを収集していたために全国規模の正確な統計がなかったのである。基本

地球外生命体はいるか?

「宇宙人」の存在は昔からテレビ番組などで大いに騒がれてきた。SF映画でも、時には人類の新しい仲間として、時には人類を滅ぼす脅威として描かれてきた。いしかし、「地球外生命体」となれば話は別かもしれない。一定の条件が揃うと生命が誕生している可能性が高いからだ。しかもそれが太陽系にいるならば、関係者の期待も膨らむばかりである。 生物は人間には過酷すぎる環境でも生きている。太陽の光がある届かない海底の熱水

Featured Posts

Categories

Archives