• Tom

『となりのトトロ』 〜良き古き時代へ〜


 気づいたらなくなっていたものがそこにある。映画『となりのトトロ』は、そんな懐かしい気持ちにさせてくれる。大人になってから抱く感想は、子供のときのそれとは全く異なるようだ。

 私たちが大人になってしまったから忘れてしまった素敵な記憶のかけらが胸を打つ。映画に登場するトトロなどのユニークなキャラクターは、サツキやメイのような子どもにしか見えない。でも、本当は子どものときに見ていたものが、今はただ見えないのかもしれない。

 この映画の特筆すべきもう1つの点は、映画の細部に描かれる良き古き時代の様子である。子どもの頃に身近にあった風景が驚くほど正確に再現されている。家の作りやかつての自然の風景が見事に残されている。バックにながれている蝉や蛙の鳴き声などすべてが昔のままなのである。

 大人になって忘れてしまったもの。それをデフォルメすることなく描いたノスタルジー。その2つの要素がいつまでもこの作品が輝く要素の1つだと思う。世界的な童話の名作である、『Little Prince』に通じる「子どものあれ」が詰まった映画である。

※参考文献

宮崎駿、(1988)、映画『となりのトトロ』


4 views

Recent Posts

See All

新海誠監督作品『天気の子』『君の名は』『ほしのこえ』を鑑賞してきた。今作の『雲の向こう、約束の場所』もまた新海ワールドが広がっている。彼の恋愛観や世界観、演出や構成などの中核となっている原点がここにある。なぜならこれが深海誠監督にとって初の長編アニメーションであったからだ。ただ、体調不良の中、ベッドで鑑賞したせいなのかもしれないと思った。映画終了後の心の第一声は「なんだかしんどい映画」だった。複雑

大学の部活動となると、もはや高校とは別世界である。大学の名前を背負って戦うわけで負けることが許されない世界だ。箱根駅伝を走った渡辺康幸もあこがれの先輩と4人部屋で過ごし、時にはゴキブリが身体を這うこともあったという。それでも走るのが楽しくて仕方がなかったと早稲田学報で語っている。その功績は選手としても監督してはここに書き切れないほど輝かしものであるが、今年も早稲田だの選手はその教えを繋いだ選手が箱

Featured Posts

Categories

Archives