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『となりのトトロ』 〜良き古き時代へ〜


 気づいたらなくなっていたものがそこにある。映画『となりのトトロ』は、そんな懐かしい気持ちにさせてくれる。大人になってから抱く感想は、子供のときのそれとは全く異なるようだ。

 私たちが大人になってしまったから忘れてしまった素敵な記憶のかけらが胸を打つ。映画に登場するトトロなどのユニークなキャラクターは、サツキやメイのような子どもにしか見えない。でも、本当は子どものときに見ていたものが、今はただ見えないのかもしれない。

 この映画の特筆すべきもう1つの点は、映画の細部に描かれる良き古き時代の様子である。子どもの頃に身近にあった風景が驚くほど正確に再現されている。家の作りやかつての自然の風景が見事に残されている。バックにながれている蝉や蛙の鳴き声などすべてが昔のままなのである。

 大人になって忘れてしまったもの。それをデフォルメすることなく描いたノスタルジー。その2つの要素がいつまでもこの作品が輝く要素の1つだと思う。世界的な童話の名作である、『Little Prince』に通じる「子どものあれ」が詰まった映画である。

※参考文献

宮崎駿、(1988)、映画『となりのトトロ』


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