ダイバーシティ
100人中およそ13人。これは左利きの人の割合に近い。周りを見渡せば左利きの人が特別視されることはほとんどない。そして、この13パーセントという数字は、LGBTの割合にも当てはまると言う。「半径5メートルの課題」(薬師美芳)という言葉の裏に当事者の苦しみが現れている。
今、ダイバーシティという言葉が使われるようになった。「多様性」と訳される。「個人のあらゆる属性のこと」(谷口真美)で、人種・障がいといった表層的なものと、習慣・性的嗜好・職歴といった深層的なものまで真相の部分に分かれる。ハーフであることの差別や父親としてのあるべき姿を求めるなど様々な活動や意識改革が行われている。
ダイバーシティということばを最初に聞いたときは、正直「今さら?」という気持ちが大きかった。教育学の中では、自他尊重や国際理解といった概念はあたりまえだからだ。でも、実態はまだ未熟ということだろう。当事者にしか分からない苦しみは表面に出にくいのだと思う。
世の中から排除しければいけないのは、「差別」だ。多様性の問題の多くは、この「差別・差別感」ではないだろうか。ただし、努力や結果は正当に評価されなければならない。多様性の問題を、例えば、就職採用率といった数字でのみ評価するのは妥当ではない。特にビジネスでは戦略的に多様性を考えることが求められている。意識しないことを意識する社会が来ることを望んでいる。
※参考文献
早稲大学校友会、(2017.8) 『早稲田学報』
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