確証バイアスと共鳴箱効果

December 21, 2017

 インターネット上では、特定のユーザーが拡散された自分の主張に合致するものだけを選び取る現象が起こる。少数が同じ意見の交換および拡散を図るため、見かけ上は多くの同意者がいるように見る。特定の情報のみが正しいと信じる「確証バイアス」が生まれ、それらが閉塞的なコミュニティーで増長していく「エコーチェーバー」(共鳴箱効果)が起こる。こうした人々の限られた情報の集約による世間の分断に危機感を抱いていると永倉克枝は述べている。

 インターネット上にある大量の情報をユーザーの痕跡等を数学や統計学等を用いて分析する手法を計算情報科学という。W.クワトロチョッキらはそれを用いて情報拡散の仕組みを捉え、「確証バイアス」の存在を突き止めた。それは特に出所が不明の情報に対して起こりやすい。また、妥当な反駁は逆に自身の主張を強めることも分かった。ここで重要なことはも情報の真偽より共有であることが分かったのだ。これらは、ネット上で広まった事実とは異なる情報の訂正や拡散防止が困難であることも意味している。

 今回の研究は、膨大なデータ量を分析しているところに特筆すべきものがある。何年もかけてビッグデータを解析した客観的な結論だからだ。こうした見識を持っていれば、ネットユーザーが唱える極論は一部の限定的な意見であり、例えば、彼らのいう「私たち」は私たちではないのである。もう「共感ごっこ」は止めた方が良い。エコーチェンバーの中は実際には自分と少数しか同調者はいないのだから。

 しかし、ロジックとは皮肉なもので、この意見そのものが「確証バイアス」の典型で、私が「共鳴箱の内側」という人が出てくるだろう。そう言われてしまえば、この議論の建設的な着地点は見つからないだろう。”Post-Truth”の時代にもっとも困難を極める瞬間である。

 

 

※参考文献

永倉克枝、(2017)、『日経サイエンス 2017 07』「ネットで軽くなる『事実』の重み」

W.クアトロチョッキ、(2017)、『日経サイエンス 2017 07』「陰謀論を増幅 ネットの共鳴箱効果」

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