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実利を超えた「実利」へ


 大学を卒業してすぐにオーストラリアに留学した。TAFEという教育機関で大学と専門学校の中間的な高等教育機関であると言われている。ADSLが導入されてインターネットに常時接続可能になった時代だ。だから、今となってはその当時の「最新」知識は「最古」である。しかし、だからといって情報技術に完全に疎いわけではない(と思う)。むしろ情報技術に長けてる人はある未知のアプリケーションに対しても簡単に操作できることは体験的に知っている。

 日本の教育では、これからプログラミング授業が本格的に導入される。アメリカでも同じようにプログラミング教育を活性化させる理論研究や支援策が行われている。ただ、現実には家庭の経済的格差などから享受される知識や技術の質や量も異なる。こういった状況では、経済界における即戦力育成といった実利ばかり目を向けると、コンピューターサイエンスの意義や概論などを身につけることが難しくなっている。そこで登場したのがコンピューターサイエンスを通してすべての子どもに計算論的な思考力を育成しようという考え方である。プログラミング学習を通して、論理的な問題解決による思考方法を学び、社会でのシステム構築と行動真理を学ぶということである。

 プログラミング学習は部分的なコードを作成し、最終的に全体が統語されて1つのロジックが作成される。つまり、何度かのデコードを繰り返して部分的なコードを作成し、つなぎ合わせて1つの指令が出来上がる。つまり、問題解決的な分析能力と協力作業方法が永続的に活用できる知識と技能等を習得することに繋がる。こうした「計算論的思考方法」の学習理論は、J.M.ウイングが詠唱したことで全米に広まりつつある。これこそプログラミング学習の本質だろう。

 日本でもコンピューターサイエンスは、ビジネス等で必要なスキル習得を最終目標とするのではなく、「計算論的思考方法」を教育の軸に据えるべきだろう。実践者(例えばプログラマー)の育成にフォーカスすることがないようにしたい。プログラミングの授業だからこそできる教程や指導方法・教材の開発が求められているのである。

※参考文献

A.M.ポール、(2017)、『日経サイエンス 2017 02』「どうなる米国のプログラミング教育」


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