「左右」をよく見て渡る


 左右をよく見て渡るのは横断歩道だけの話じゃない。政治の世界でも同じである。ところが、今の日本では、「右=右翼=保守」、「左=左翼=革新」とならないところが難しい。「参院選2016争点に気づけ!」で触れたように、時に政局の論点がすり替えられてしまうことさえある。

 「左翼」「右翼」という言葉は、フランス革命時の国民会議において議長から見て左側に体制革新派、右側に体制保守派が座ったことに由来する。(保守=伝統のビジネスvs革新=新分野の開拓の構図)日本の場合、安全保障で改憲派が保守、護憲派がリベラルとなるためにねじれの現象が起きている。実際、週刊ダイヤモンドの調査では、若い年代では、共産党が自民党と同程度の保守政党と認識していることが分かった。さらにややこしいのが、安倍内閣だ。日本最大の右派組織「日本会議」や保守的な企業、例えば三菱重工業といった軍需企業との関係が深い一方で、「地方創生」や「1億総活躍社会」など左派的な政策を全面に打ち出している。そのため、今の自民党に限っては「保守左派」という立ち位置になるのである。野党が特色を出せずに、安倍1強の体制を維持している要因の一つだろう。

 今日では、かつての学生運動、例えば左派系の早稲田の学生会館封鎖のような政治的紛争は少ないし、右派的な建学の精神を持つ、例えば国士舘大学がその特色を全面に出すことはない。大学だけではなく、投票率が示すように政治に対してどこか閉塞感やあきらめの奮起が漂っている。その大きな要因は2009年以降の旧民主党の失政が大きいだろう。自民党に「お灸をすえる」意味で投票したのではなく、選挙で政権交代が実現した意味は大きかったように思う。自民党以外に明確で妥当な議論と政権運営能力をもつ受け皿としての野党がない。膨れ上がる不満や虚無感がネット右翼という現象を生み出しているのかもしれない。

 かといってネット右翼が大きな役割を果たしているわけではない。彼らはごく一部の排他的・差別的言動で目立つだけで議論が成り立たないことも多い。その対抗勢力とされるリベラル勢力も本来の左翼思想とは異なる護憲のみの派閥と評されることもある。私たちは、世界的なポピュリズムの右傾化とイデオロギーの煩雑化の中で、「左右」をよく見て政局を判断する力が求められている。

※参考文献

(2017)、『週間ダイヤモンド 2017 11/18』「右派×左派 ねじれで読み解く 企業・経済・政治・大学」


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