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『IT革命』-ネット社会のゆくえ- 〜論理が予言を可能にする〜

 2001年は、インターネットの回線がダイヤルアップからADSLに変わっていった頃である。当時は、ネットに常時接続できるという利便さに驚いたものだ。ノートパソコンは重くて持ち運びはできなかったし、携帯電話も3Gの時代である。そんな頃に、情報技術の見識からこれからの論理的に未来を展望したのが『IT革命』である。

 本著では、IT革命とは「誰でも情報が持てること」であり、メディアビッグバンを「放送と通信の融合」と定義している。工業革命における「公」(中央集権)と「私」(家庭)の間に「第3の社会」としての情報の流れが出来るとした。そこから、コミュニケーションの変容を「家電から個電(テレビ中心が個室での機器の操作)」ととらえ、さらに贈与・互酬行為を基盤とした「オンラインコミュニティー共同体」の創世から、高層ビルの出現とITの融合した移住空間・情報都市への構築およびその課題等をダイナミックかつ詳細に解いている。

 この書物の内容は多くの人にとって賞味期限が切れていると感じるだろう。実際、ITの進歩は日進月歩であり、「現在」の技術的な部分では役に立たない部分も多い。しかし、特筆すべきなのは、この当時のITに関する学術的知見から将来の動向や人間社会を導き出している点である。この時点ですでに、アップルウオッチやテロおよびヘイトスピーチ、オンラインショッピングや電子マネー等まで暗に予期しているのだから驚きだ。だから、最終章に書かれている、突拍子もない高層ビルとオンライン共同体が融合された「空中都市」が数十年後にあたりまえになっているかもしれない。

 本書で広く深い論理的な思考は、時間軸のすべてにおいて人間や社会の本質を暴く可能性があると再確認させられた。目の前の物事を処理しようとハウツー本ばかり眺めていては中・長期な本質を見抜けなくなってしまうかもしれない。私は、世界がITの本質を第4次産業革命に向かいつつある中で俯瞰的に捉えるとともに、論理が妥当な未来を展望することが出来るという好例だと捉えている。

※参考文献

西垣通、(2001 5 18)、『IT革命 -ネット社会の革命-』(岩波新書)

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