AO入試等の利点を生かす制度確立へ

October 1, 2018

 本来のAO入試は、生徒の興味・関心や得意・長所等に鑑みて、学校のアドミッション・ポリシー等に十分適合しているかを判断することであった。しかし、慶應大学が始めた当初の思惑は、追随したや大学の私的な理由のために薄れていった。いわゆる大学の「青田買い」である。生徒も早く次の進学先を決定したいために、お互いの利害が一致した格好となっている。公募推薦等も含めた新しい試験制度は少子化による生徒募集の激化で当初の目的を失いつつある。

 ところが、そうした動きとは対極をなす高大接続のシステム構築が行われていようとしている。それは、理系を選択している生徒が提携している高校の生徒を大学で受け入れ、研究に必要な知識・技能等を見につけてもらおうとする取り組みだ。生徒が提携する大学に進学を希望する場合には、AO入試等を活用する仕組みである。まずは、先進的な理数教育を行う「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」事業の一環として運用するそうである。

 こうした制度化は、AO入試等の志願理由が「オープンキャンパスが良かった」「施設が充実していた」といったレベルで帰結しない。本当にその学問が自分が興味・関心があり、今学んでいることの意味を正確に見つめる機会になるはずだからだ。また、高校での無機質な学習が、今後の展望や描きながらの継続的な学びにもなるだろう。

 このような理系の生徒の育成は国際競争社会における国家的な戦略であろう。なぜなら理系分野は人間の生活にダイレクトに技術革命を支える「量」な分野だからだ。しかし、文系、特に文学や哲学・芸術といった分野は実用的ではないとしてこうした事業からは敬遠されがちだ。しかし、今後は目先の「豊かさ」を追い求めるだけではなく、生活文系の研究へも裾野を広げることで学生と大学及び学問・研究のマッチングを十分に図る契機にしていきたい。それこそが本来のAO入試の理念である。

 

 

※参考文献

読売新聞、(2018 9 28)、「理系系人材を一貫育成、『高大接続枠』来年度から」

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