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衝撃!英検が採点にAI導入を発表(前編)

 夜に何気なく実用英語検定のホームページを開くと驚きのプレス発表がされていた。実用技能検定におけるライティングとスピーキングでAIの自動採点に一定の成果が認められたということである。特に衝撃だったのは、2次試験のスピーキングの対面式では、1級から3級までは順次採用していくということである。「AI による自動採点実証研究で有意な成果 ―2019 年度から英検に順次本格導入予定―」。この研究発表のサブタイトルこそが大きな転換点であると考えるのだ。英検の面接委員はいなくなってしまうのだろうか。

 補足にあるスピーキングの自動採点実証研究を読むと、AIがどの程度精度が高いかを見ることが出来る。音声(ただしノイズや沈黙等の音響的問題点を除く)として約90%を正しく認識し、その中で約98%の割合で人間の採点結果と齟齬が出なかったという。今後は人間による通常採点を補完する形で精度の向上を図るようだ。人間は認識が難しい文字や音声に焦点を絞った採点を行うようである。しかし、私は人間が自動採点の補完をするのではないかと予想している。

 ライティングに関しては、白紙やグラーマーチェック等の膨大な手間は省けるので採点期間の短縮といった採点側の負担軽減が出来るだろう。ただ、機会が個性ある言い回しやロジック(実は答案作成には必ずしも適していないが)をどれだけ理解できるか疑問が残る。また、スピーキングは対面式の吹き込みとなった場合は、面接委員との軽妙なやりとり、つまりコミュニケーション上の言外の要素、例えばアテイチュードの要素が反映されにくいだろう。CBTのような完全な吹き込み式のスピーキングでは実際に議論する力とは別の能力を求められる気がするのだ。だから、今後はAIの進歩と並行した対面式のコミュニケーション能力を測る方法を追求する必要がある。

 いずれにしてにも、日本英語検定協会とそれを後援している文部科学省は後戻りができないとことろまで来ている。4技能のバランスの取れた英語革命の本気度がうかがえるというものだ。今後はこれを高校入試といった試験にも拡大出来れば長期的な戦略を立てることも可能だ。人間(面接委員等)と機械(AI)のそれぞれの長所を活かせるような試験を模索してほしい。真の英語教育よ、永遠なれ!

※参考文献


*訂正

タイトルを変更(2021年3月14日)

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