『英語の4技能の勉強法をはじめからていねいに』 〜英語学習の要点凝縮の漫画本〜
2020年度から大学入試が大きく変わる(はずだった)。特に、英語は従来のインプット2技能からコミュニケーション重視の4技能試験となる。そうなると試験形式の変更が英語教育に大きな影響を与える。試験で得点を取るという外発的な資源のほうがモチベーションが上がるのは仕方のないところだ。そしてこの流れは当座は大きく変化しないだろう。それでは、何がどう変わり、どう対策を立てれば良いのだろうか?
その答えが本書にある。私自身が高校生から安河内先生に師事してから英検1級を取得するまで、そして今、高校生に教えている身としては「当たり前」の内容ばかりではある。著者は名前や出版社を変えて同いような本を何冊も出しているから、目新しい内容はそれほどない。しかし、その勉強法はいたって王道であり、新しい大学入試に合わせた英語の勉強法を丁寧に提示している。その凝縮度はあまりに濃い。英語改革と勉強法、それも文法からスピーキングまで完全網羅している。(ストーリー漫画特有の蛇足なコマを除けば)はっきり言って1ページも無駄なページがないのだ。
将来に向けて英語を勉強するなら参考書を読むよりここからスタートした方が良いだろう。東進ブックスからの出版なので、高校生をターゲットにしているが、教職員はもとより、子どもを持つ親が将来の投資を考える契機にもなるだろう。こんなに将来に役立つ漫画は他にはないだろう。
※参考文献
安河内哲也、(2018.3)『英語の4技能の勉強法をはじめからていねいに』東進ブックス
*追記(2020年10月8日)
タイトル及び内容を一部加筆訂正した。
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長文読解問題を解く際には、漫然と読んで解答したのでは効率が悪いことがある。戦略的に読むということを丁寧に解説しているのが「魔法の長文解法」である。初版が1991年で、当時から安河内哲也は「基礎から偏差値アップ総合英語」や「有名大突破 戦略英語解法」といった人気講座を開いているが、長文読解解法のエッセンスが凝縮されている良書である。 近年は4技能の向上に焦点を置いているもの、それでも英文解釈や効率的