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Tom

謹賀新年 2019


 あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

 彼はライオンと一緒に真夏の暑い中を喉がカラカラな状態で歩いていた。そして、2人は泉に出会う。するとどちらが先に水を飲むかで喧嘩になる。やがて激しくなり、命をかけた戦いになってしまう。途中、お互い息を整えようとした時に、気づくのだった。周囲にハゲタカが取り囲んでいるのことに。イソップ物語の『イノシシとライオン』だ。彼とは今年の干支、イノシシのことである。

 グルーバリゼーションは、インターネットの普及とともに拡大していった。そして皮肉にもナショナリズムの台頭を生んだ。自国の利益を優先し、互いに憎しみ合う姿を見ることが多くなった。憎しみというネガティヴな負の感情は決して友好的・建設的な関係を構築しない。世界情勢を見ていて胸が苦しくなる思いを何度経験したことだろうか。

 先のイソップ物語は、我に返ってお互いが休戦を誓い合う。私たちはそこに、「言葉」の力を見出す。人間が動物と大きく異なる点は、言語を駆使して高度な文明を築いたことだ。丁寧に言葉と論理を司っていくことでさらなる発展を期待できる。自己中心的な「猪突猛進」な言動は取ることを控えなければならない。

 ただ、現実の世界は資本主義に基づく競争社会だ。努力した者が報われる可能性が高いし、社会はそうあるべきだと思う。だから、時と場合によっては「猪突猛進」の勢いで目標に向かっていくことは必ずしも悪いことではない。「泉」を見つけるために新年の誓いを立てる。ただし、独り占めをしないでみんなで分け与える。そうすればハゲタカに狙われることはないだろう。

※参考文献

『イソップ物語り』「イノシシとライオン」


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