top of page
  • Tom

AIは人類の味方?敵?


 最新の医療では、誤診を防ぐためにAIによる画像診断の研修が進んでいる。例えば、エルピクセル株式会社の開発している「EIRIL(エイリス)」は、病変が見られる医療画像を学習し、MRIなどの画像の診断を行うことが出来る。エンジニアの後藤氏は、「AIが医師の代わりをするのではなく、あくまで医師の診断を支援するスタンス」で研究していると言う。

 翻訳の世界もルールベース、統計ベースを経て、深層学習へと進歩している。「ヤラクゼン」は、機械が自動翻訳をした後に、翻訳者等の修正を経た結果を深層学習していく。開発者の坂西氏は「機械に任せきりではない翻訳システム」を目指している。

 もちろんこれ以外にも、様々な領域でAIが活用されている。ただし、上記に引用した例に共通しているのは、AIはあくまで人間の補助という視点である。機械は単調な繰り返しの作業や一度入力したデータの呼び出しといった作業は得意だ。ただし、現実を読み取る力や現実に臨機応変に対応することなどは難しい。従って、現時点においては、人間がAIをうまく活用する方法が考案されているのだろう。

 AIの普及には、つきまとう不安や疑念がある。人間の存在価値を脅かすからだ。早稲田大学の尾形哲也教授も将来的には医者が不要になることは認めている。しかし、「AIはツールで、最終判断は人間が行う必要がある」と述べている。これは、AIの信頼性や責任の所在という課題である。翻訳の世界でもそういった視点から機械が完全に人間を排除することはないのかもしれない。ただし、技術の進歩と人間の存在価値の関係は私たちにシビアな問題として差し迫ってくることは否定できないだろう。

※参考文献

早稲大学校友会、(2018・12)『早稲田学報』


5 views

Recent Posts

See All

『AIと法の時代』〜AIと法の難問を把握する〜

ディープランニングなどの技術発展により第三次AIブームが来ている。どのような倫理観や規制によって共存していくかも世界的な課題である。以前から私は法とAIの関係性に興味があったので、『AIと法の時代』を手に取ってみた。 著者の小塚壮一郎は、上智大学法学科大学院教授等を経て、学習院大学法学部の教授だ。商法・会社法を専門にしている。本書では現代のAI社会を「モノからサービスへ」「財物からデータへ」「法/

『正義を振りかざす「極端な人」の正体』〜ヤフコメの真実〜

「(ヤフーコメント欄では)彼らは、ネット右翼と呼ばれ、「韓国人は出て行け!」といったヘイトスピーチを繰り返す。それは排他主義的でヘイトだと指摘すれば、原因は相手側にあるとい、言論の自由を持ち出す。議論を続けても最終的には「お前は在日」と罵られて終わる。議論が出来ない人々である。政治面だけではなく、ゴシップ記事に対しても、主張が合理的妥当性がなく、誰かが言った主張をただ繰り返すだけである。」(Sei

『mac OS パーフェクトマニュアル』シリーズ〜最新のmacOSの全体像がつかめる〜

「なんて綺麗な画面なんだ!」これがApple製品、MacBook Airの出会いだ。新しいラップトップコンピュターを探しにヤマダ電機総本店を行って、一目惚れをしてしまった。Macbook AirのスタイリッシュでクールなデザインはWindowsをはじめとした他社製品にない大きな特徴として多くのファンを魅了している。 Macは直感的に使用できるようなインターフェースとなっているが、慣れてくれば大きな

Featured Posts

Categories

Archives
bottom of page