新しい時代の評価方法を考える
英語改革に向けて様々な議論がなされる中で、評価方法の工夫や改善は解決すべき課題の1つだ。というのも、従来の大学入試等で文法、長文や読解に重きが置かれ、マークシートで答案を処理していたからだ。膨大な数を正確に行うには合理的sだったかもしれない。しかし、翻訳文化に発祥を持つ「使えない英語」指導の文化は終わった。
4技能育成の中でアウトプット型、つまりライティングとスピーキングの妥当な評価方法が急がれる。明治大学の尾崎直子教授は観点別評価の方法として、①パフォーマンス評価(スピーチなどの実演評価)、②ルーブリック(成功度合いとパフォーマンスの特徴を組み合わせる評価基準表)、③ポートフォリオ評価(記録や成果物の集積と評価)の3つが重要であるとし、「学習到達目標と指導、評価の一体化」を提唱している。
もちろんこれらの評価方法は、採点者の主観が入るために完全な公平性を求めるのが難しい。だからといって、基準が細かくなりすぎると採点が煩雑になる。(経験的に項目が多い方が精確さが担保しにくいと感じる。)ここには人間が人間を評価する大きなジレンマがつきまとっている。
だからこそ教師の同僚性が必要になってくるのだ。現状では教員が一枚岩で取り組む雰囲気が醸成されない。これでは望ましい指導も評価も行えない。現場の教員が同じ理念を共有し、共通の評価方法を設計し、多くの目で生徒の長所を伸ばしていく姿勢が必要となる。例えば、日本人教師とALTのそれぞれの長所を活かしていくことも出来るだろう。評価方法の在り方を考える重要な時期に来てるのである。
※参考文献
日本英語検定協会、(2017 4)、『英語情報 2018年 冬号』
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