top of page

ミステリーの真髄


 名探偵と言えば誰を思い浮かべるだろうか。たぶん多くの人が『名探偵 コナン』の工藤新一(コナン)のようにキレのある推理をしてみたいと思ったことがあるだろう。なぜミステリーはこれほどまでに人を惹きつけるのだろうか。

 例えば、霞流一の指摘は非常に的を射ている。「ミステリーの根源的な魅力は『謎解き』」であり、「不可解な謎が解き明かされるロジカルな推理や、その意想外な真相、それらに感動に重心を置いて構成された物語」をミステリーの根源としている。また、小説は時間軸に従って話が展開されるが、ミステリーは事件を起点に過去へ向かって推理をしていく。この画期的な「発明」の創始者このエドガー・アラン・ポーがミステリーということである。そこに「ワンダー(驚き)」の要素を入れることでエンターテイメントとして魅力ある作品になると述べている。

 『金田一少年の事件簿』の編集を手掛けた樹林伸も、「常に意外性を意識しながら意識しながらストーリーを構成している」と述べている。数々の伏線を一気に回収していく、瞬間的で完成されたロジックが面白さの真髄だと思うのだ。意外性という点では、『古畑任三郎』の設定が斬新だ。冒頭から犯人が紹介され、そこから主人公がいかに犯人の仕掛けたトリックを見破るかという視点でストーリーが進むのである。だから面白い。

 大学時代に囓った程度であるが、ポールオースターの『Ghosts』は、純文学のミステリーとして有名だろう。その奇妙な物語もさることながら、そこに潜在する様々な暗示を解釈していく深みもある。つまり、二重の謎解きが混在する意味での複雑な「ミステリー」だ。こうした「謎解き」を通して、自分と世界を取り巻く哲学的な問題に挑むのも悪くないだろう。

※参考文献

早稲大学校友会、(2019・2)『早稲田学報』


6 views

Recent Posts

See All

新型コロナウイル感染が世界中に拡大し、医療・経済・教育などあらゆることが変化し、多くの議論が行われている。現実問題として医療や経済などに目が向かいがちであるが、終息する気配もなく、どこが退廃的な雰囲気が醸成されているのはなぜだろうか。 大澤真幸の論考「不可能なことだけが危機を乗りこえる」(『思想としての新型コロナウイル禍』)はその中でも社会学の視点で論理的にコロナ禍を考察し、今後の展望を述べている

AIの本質を探り、今後の人類のあり方や生き方を模索することは現代社会の大きな議論の一つである。本書は、テクノロジーと生き方の手助けになると思い長期休暇を利用して上下巻を読破した。著者のユヴァル・ノア・ハラリはヘブライ大学の教授で専門は歴史学である。『サピエンス全史』で世界的なベストセラーだ。ちなみに、訳者あとがきは難解な文章の解説的な役割も果たしている。 人類の歴史と展望について、難解な部分もある

熊代亨は著書『健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて』の中以下のような指摘をしている。現代の私たちは、売買やコミュニケーションを担保する法制度と空間設計、それらに適した通念や習慣が徹底された社会の仕組みから便宜を得られる人がいる一方で、人々が他者と共有できない世界観の存在を見落とす可能性がある。こうした仕組みは私たちを効率性や社会契約の内側へと訓練し続け、内面化された通念や習慣から

Featured Posts

Categories

Archives
bottom of page