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朝日新聞の記事(朝刊紙面・デジタル)に載りました 〜記事の裏側〜


 朝日新聞の記者が私の学校に取材に来た。大学入試における英語改革の民間試験導入に関してだ。そして、取材のちょうど1ヶ月後に新聞記事(デジタル版やヤフーニュース等で長さが提供先によって若干異なっている)に掲載された。内容としては、「英語の4技能試験には賛成で、民間任せにせずに国が主導して公正な試験を実施すべき」(▼注)というものである。

 そこで、取材時に述べた私の見解を詳細にお伝えしたい。まず、確かに現段階の民間試験導入制度は受験料や場所等で島しょや僻地、地方などの生徒に不利になっていることは否めない。また、民間試験は何種類もあり、質量ともに異なっているために十分な対策も難しい。実際、受験生にしてみれば、同じ英語であっても事前の対策はある程度必要であり、教員もすべての試験を包括的に熟知するには相当にハードルが高い。私自身は特定の試験に特化すれば良いと思っているので、それほどプレッシャーは感じないのだが、受け持つ生徒の多様なニーズに否応なく対応しなければいけない指導者は多くの負担を感じてしまうだろう。

 ただ、それでも4技能試験の導入は挫折してはならないと思う。日本人が今まで、ライティングやスピーキングが苦手としていた大きな要因の一つに、アクトプット型の試験がなかったからという事実が挙げられる。生徒も学校もシビアだ。試験に大きく関係のないことには時間を多くを費やせない。これは何年も英語の指導をしているから経験的に理解していることでもある。しかし、4技能の試験がバランスよく出題されるならば、単純に生徒は勉強する。理想論で語るではなく、外的なモチベーションを高めることは現実的な指導方法なのである。だから、私はここでひとつの提案をした。国が責任を持って1つの試験に統一し、4技能の試験を行えば良いということだ。もちろん、これから具体的なインフラ整備や試験制度などを議論していく必要がある。しかし、例えばTOEFLの CBTをモデルにて、IT技術と予算、人材や評価理論等を組み合わせていけば実現不可能であるとは思えないのだ。(これなら民間試験導入反対派も、国が主導で公平性を担保すれば4技能の育成に加わることができますよね?)

 さて、取材の席では、朝日新聞の記者は民間試験の導入に反対している雰囲気を醸し出していた。それにしてもその記者の方がほんとうにうまく記事にまとめてくれた。感謝である。ただ、もやもやしている部分もある。文脈上、私が民間試験反対派の流れの中にいるからだ。私は「民間任せにせず」とまでは明言していないつもりだった。あくまで、国が主体となって制度や方法論を詰めるべきと申し上げたのだ。しかし、そこは正しく伝えられなかった私の勉強不足であり、原稿を確認した際の判断ミスでもある。とにかくこの英語改革が失敗し、インプット型中心の試験に逆戻りすれば、日本人の英語力は低いままであり、「使えない」日本人を相変わらず輩出してしまうことになるだろう。それに、ここは強調したい重要な部分なのだが、民間試験は大学入試で優遇措置をもらえる資格試験として従来通り活用すれば何の問題もないのだ。記者の方にも申し上げたが、4技能の試験への改革が制度崩壊のために頓挫することを何よりも恐れてるとうことを最後に述べておきたい。

※参考文献

Tom、(2019年)、朝日新聞デジタル・Yahoo!ニュース・auヘッドライン

(▼注)記事には実名が出ているため、参考文献としてソースを表示しなかった

★追記 2019年9月3日

後日に朝日新聞の朝刊記事にも掲載された。


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