衝撃の1012
朝刊には今後の日本教育を大きく変えることになるであろう出来事が載せられていた。一つは、「大川小 遺族の勝訴確定」である。東日本大震災の際に津波で計84人が犠牲になった大川小学校の対応に過失が認められた。この地域ではハザードマップ上では津波予想浸水外であったにもかかわらず当時の地形を踏まえれば被害を予測できたと言う。この震災に関連して同様のケースで判決が割れたこともある。専門家が指摘するように、教員は地域住民よりもはるかに高いレベルの防災知識と経験が求められることになった。子どもの命が最優先であることは自明の理であり、今後は学校行政と現場がこれを踏まえてどのように対応していくか。相当の難題である。
この日は台風19号が夜から翌日の未明にかけて関東・東北を直撃した。全国で21もの河川が氾濫し、テレビには目を覆いたくなる光景が広がっていた。近年は異常気象の結果、水害が増えており、河川工学の専門家である池内幸司は「すべての大雨に対して河川の氾濫を防ぐのは不可能」だと言っている。言い換えれば、ここまで膨大な費用を費やした現在の治水設計・対策では限界が来ていることを意味する。自治体の要請のなくとも実施する「プッシュ型」支援が重要になってくるなど、現場での組織や個々の判断が重要になる厳しい現実が突きつけられた。
さらに同日、神戸市の小学校で複数の教員が20代の教諭をいじめ行為があったことを受け、被害教諭も代理人弁護士が被害を届けを兵庫県警に提出したと報道された。当時の校長にいじめ相談をしても取り合えってもらえなかったいう。よくそんなくだらないことをしている暇があるなと開いた口が塞がらない。こんな管理職や教員が切迫した状況で正しい判断が出来るものなのか。とても子どもの命を預かっている責務を果たしているとは思えない。ここまですべれが2019年10月12日の記事である。
訴状によると、いじめは相当悲惨なもので首を締める、熱湯の入ったやかんを顔につける、尻が腫れ上がるまでたたくといった行為までも含まれていたという。こうした一部の愚行が教育界全体の首をしめることになっている。世間からの冷たい視線が顔に突き刺さる。「もっとしっかりやれよ!」子どもの安全を第一に考えながら職責を果たしている大多数の職員は尻が腫れ上がるまで叩かれている気分であろう。
※参考文献
読売新聞、(2019年10月12日)、「子どもの命 最優先に」
読売新聞、(2019年10月12日)、教諭いじめ 男性が被害届」
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