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時代変遷の理論整理 2019 〜昭和、平成、そして令和へ〜


 元号が令和に変わり、新しい時代が幕開けした。今日は即位正礼殿の儀である。昭和とはどんな時代だったのか、平成をどう生きてきたのか、そして令和の展望とは何か。東京オリンピックを出発点に考えてみたい。

 刈谷剛彦は著書の中で、東京オリンピックに関して保坂正康の言葉を引用して「高度成長の可視化」と端的に述べている。日本女子バレーボールがソ連に3連勝した姿をその高度成長期と重ねたのである。それからおよそ半世紀を経て、オリンピック開催が平成の終わりに決まり、令和2年に実施される。

 学研の小論文研究会講師である小堀精一言うように、社会的問題について向き合うときに、比較・相対化によって社会の姿を描いてみることが重要である。そこでまずは昭和を概観する。武力放棄を憲法で規定した日本国憲法の制定を境に、以降は高度経済成長の時代に入っていく。つまり、平和に関しては戦後の私たちの精神は基本的に変化してない。一方で、バブルの崩壊とグローバル化が同時に進み、競争原理による医療や教育、地域、世代間、AIといった格差社会が到来した。ここでは共通した価値観の喪失がり、SNSの登場により不特定多数が多方向へのコミュニーケーションを取るようになったことで、メディアや政府といった既存の権威に依存しないつながりが発生した。ネット上でのヘイトスピーチやフェイクニュースは疎外感に起因する承認要求の増加の象徴だ。また、ジュリアナ東京に代表されるような創中流社会・共生社会・家族共同体は崩壊し、成果主義・能力主義が一般化した。溢れる情報の中で不安は増大し、政治は再配化が機能せず、フリーターがネガティヴなニュアンスの持つワードへと変化したことから見られるように、「負け組」の負の連鎖が広がっている。こうした状況のなか、AIが私たちの生活や人生に入り込んできていることになる。

 従って、令和のオリンピックは、昭和の高度成長を可視化したオリンピックとは質がまったく異なると考える。2020年のオリンピックでは、昭和に様にお茶の間で三種の神器と言われたテレビを家族で囲むよりも、どのデバイスでどのように見るかは個々の自由であって、その言動を尊重していこうというのが主流だろう。ダイバーシティーという用語が好んで使われるように、互いに距離を置きながら自他尊重の精神を育んでいる。そういった意味では、IOCやメディアなどがパラリンピックにも重点を置いて、スポーツの持つ意義や障がい者にも同様のスポットライトを当てて欲しい。また、シンギュラリティーへ向かう中で、AIには不可能な人間の持つ可能性に注目し、スポーツの持つ普遍的な価値やAIでは不可能な人間同士の協力性やコミュニケーションなどのあり方に目を向けていきたい。よって、希望観測的な経済効果を期待したり、国民が一致団結する雰囲気を醸成することは難しいだろう。つまり、昭和のオリンピックのように経済が一気に加速し、努力は必ず報われるといった確信を持つことは危険であり、それは幻想に過ぎないのだ。ただし、今の時代だからこそ改めてオリンピック開催の意義を問いたい。それは、生身の人間が参加するスポーツの普遍的な価値だ。結果を求める過程での努力やドラマ、敗者にも向けられる尊敬の眼差しといったものだ。

 高度成長期の昭和、グローバル化による競争格差社会を経て、新しい令和の時代の不易な人間の可能性やAI時代の在り方、考え方を模索していきたい。2度目の東京オリンピックはもうすぐそこまで来ている。

※参考文献

刈谷剛彦、(2015)『1960年代ー高度成長の『時代』と日本の変貌』刈谷剛彦編『東京オリンピックー1960年代(ひとびとの精神史) 第4巻』岩波書店

大堀精一、(2018 5 10)、『小論文の書き方と考え方』講談社選書メチエ


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