top of page

英語民間試験の具体的代案 〜TBSへの回答〜


 先日、職場にTBSから英語民間試験導入の賛否、及びそれに関するアンケートが届いた。依頼は10月の政府による延期発表前で、多忙なときに真摯に回答したのだが、お礼の返信もないのが残念だった。(反対ありきの質問項目も酷かった。)本稿は、その回答を踏まえた私なりの英語民間試験の代替案を提示したい。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(英語の民間試験導入の延期発表前の時点では)英語民間試験の公正・公平性は完全に公平されているとは言えない。

(英語民間試験の導入で改善してほしいことは、そもそも)目的の異なる数種類を同一の試験を一律のCEFRでは測れないと思う。実際、それぞれのレベルを見ると試験の難易度が適切に表示されているとは思えない。(英検1級があまりにも軽く見られている!)

 そこで、代案として、私は2つの考えがある。第一に、民間試験はあくまで補助的なものとし、国が責任を持って全国統一の試験を実施することである。今まで大学入学センター等が蓄積したデータやノウハウを活用すれば良い。国はそこにお金を投資するべきである。第二に、各大学等が二次試験でアウトプット(ライティングやスピーキング)のテストを行えば良い。1次試験で絞り込んだ受験生を大学のアドミッションポリシー等に従って対面式インタビューやプレゼンテーションなどを課せば良いのだ。

 島しょ地域での実施など、今回の民間試験は問題点が多いが上記のような代替案を強く訴えたい。日本人が今まで、ライティングやスピーキングが苦手としていた大きな要因の一つに、アクトプット型の試験がなかったからという事実が挙げられる。生徒も保護者も学校もシビアだ。試験に大きく関係のないことに多くの時間を費やせない。これは何年も英語の指導をしているから経験的に理解している。しかし、4技能の試験がバランスよく出題されるならば、単純に生徒は勉強する。理想論で語るのではなく、(残念ではあるが)外的なモチベーションを高めることは現実的な指導方法である。

 そして、そもそも論として英語学習の原点に帰れば、英語はコミュニケーションのツールであって、試験(思考訓練)のためにあるのではない。従って、民間試験のシステムを変えるだけではなく、私たちの意識も変えなくてはいけないのだと考える。


12 views

Recent Posts

See All

『マンガでわかる!小論文 頻出テーマ編』〜大堀精一先生の新書でテーマを徹底理解〜

大堀精一は、「学研・進学情報」を監修し、小論文入試問題分析プロジェクトチーム編集長も兼任している、まさに小論文のスペシャリストである。『小論文 書き方と考え方』の著者で、私がこの分野で最も尊敬している方である。その方の新書が発売されたので、早速購入して読んでみた。 マンガではあるものの扱っているものは大学入試小論文の頻出テーマに絞った良書である。扱われているのは、「格差社会」「人口減少」「社会保障

第10回 夏の教育セミナー 2023〜生成AI時代の教育とは〜

夏の教育セミナーは新型コロナウイルス感染防止の観点からオンラインが続いていたが、4年ぶりの会場実施となった。ただ、私は諸事情で会場に参加できず、目の前で感じられる講師の熱弁や分科会の模擬授業を体験する機会などを得られなかった。ただ、オンラインでも東京及び大阪での実施を録画再生してもらえるハイブリッド形式であったのは有り難かった。 基調講演のタイトルは「教育改革の最新の動きを知る」だが、現行の共通テ

第9回 夏の教育セミナー 2022〜高大接続改革の脆弱性〜

第9回夏の教育セミナー(日本教育新聞・株式会社ナガセ主催)が今年もオンラインで行われた。例年以上に講座が豊富で、収穫が多く勉強になった。今年の目玉は、高等学校の新学習指導要領の施行に伴い、令和7年度の共通テストの内容とそれを考慮した授業改善だろう。特に、指導と評価の一体化の理論と実践には多くに関心が集まっていたようだ。また、カリキュラム・マネジメントや指導方法の改善による学校改革まで盛り込まれてい

Featured Posts

Categories

Archives
bottom of page