top of page
  • Tom

『小論文これだけ!』 〜小論文対策の「古典」〜

 小論文対策と言っても、慣れていなければどうやって対策を立てていけば良いのかピンとこないであろう。教員としては、「作文」と「小論文」の違いから入っていくのが基本である。本書は、その原則通りに「小論文」の定義を明確にしてから、書き方のパターンを提示している。初心者にもしっかりと入口を提示くれている。

 また、英語のアカデミック・ライティングと同様に、「型」を明示してくれている。結局、英語には英語のロジックがあるように、日本語にはその言語(または文化)に合致する構成がある。それさえ分かってしまえば、あとはその「型」に自分の意見を当てはめれば良いだけである。

 そこで、問題が一つ浮かびあがある。肝心な自分の意見が作れないのである。まず、そもそもその分野に関しての知識・経験等が不足しているのだ。自分の論を主張するに妥当な文献、データ、体験が乏しいのである。自分の意見を表明するにはその課題や分野に関する探求が必要である。

 そのために、どの分野でははどれが「必読書」なのかを提示していくれている。その部分に大半のページを費やしているのはそのためだ。だから、推薦図書に関してのエッセンス、さらには具体的に内容解説・使えるフレーズまで提示してくれているのだから、これほど便利な参考書はないかもしれない。このシリーズの本が人気を博していて、ロングセラーになっているのは納得である。

 ただし、本書はロングセラーだけに、「必読書」がやや古いものが多い。2004年に出版されているからだ。しかし、例えば、その分野に進むには絶対に読んでおいた方が良いものばかりなのか間違いない。言い換えれば、必須の「古典」を知ることができるだろう。したがって、小論文の定義、書き方から「必読書」までを含んだ「諸論文対策の古典」だと私は思っている。本書の内容を理解した上で、最新の新書等へと学習を進めていけば、いきいきとした説得力のある小論文を書くけるだろう。

※参考文献

樋口裕一(2004 10 6)、『小論文これだけ!』東洋経済新報社

18 views

Recent Posts

See All

新型コロナウイル感染が世界中に拡大し、医療・経済・教育などあらゆることが変化し、多くの議論が行われている。現実問題として医療や経済などに目が向かいがちであるが、終息する気配もなく、どこが退廃的な雰囲気が醸成されているのはなぜだろうか。 大澤真幸の論考「不可能なことだけが危機を乗りこえる」(『思想としての新型コロナウイル禍』)はその中でも社会学の視点で論理的にコロナ禍を考察し、今後の展望を述べている

AIの本質を探り、今後の人類のあり方や生き方を模索することは現代社会の大きな議論の一つである。本書は、テクノロジーと生き方の手助けになると思い長期休暇を利用して上下巻を読破した。著者のユヴァル・ノア・ハラリはヘブライ大学の教授で専門は歴史学である。『サピエンス全史』で世界的なベストセラーだ。ちなみに、訳者あとがきは難解な文章の解説的な役割も果たしている。 人類の歴史と展望について、難解な部分もある

熊代亨は著書『健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて』の中以下のような指摘をしている。現代の私たちは、売買やコミュニケーションを担保する法制度と空間設計、それらに適した通念や習慣が徹底された社会の仕組みから便宜を得られる人がいる一方で、人々が他者と共有できない世界観の存在を見落とす可能性がある。こうした仕組みは私たちを効率性や社会契約の内側へと訓練し続け、内面化された通念や習慣から

Featured Posts

Categories

Archives
bottom of page