新型コロナウイルスの理論整理 2020

August 16, 2020

 世界が新型コロナウイルスで大混乱している。日本でも毎日のように感染状況やその対策が議論されており、ウィズコロナやソーシャルディスタンスといった横文字が並んでいる。私たちはこの状況をどのように捉えていくことが出来るか。今年も学研の小論文研究会講師である大堀精一氏の提言するように、社会問題の比較・普遍化、抽象化といった技法を通じて考察していきたい。

 そこで例年通り、まずはここまでの世界や日本の歴史的な変遷と現在の状況を大堀氏の分析を参考しながら繋げてみたい。国際化社会からグローバル社会に移行し、グローバル・サプライチェーンが確立された。また、インターネットの普及によりコミュニケーションのあり方も一対一から一対匿名の複数へと変わった。2011年のエジプト革命のように未知の人々が同一の行動を取ることで大きな変革を成し遂げたのはその象徴だろう。インバウンドに重きを置いた経済活動も盛んで、世界遺産はその保存は名目であってビジネスの一環であるという指摘を完全に否定することは出来ないだろう。こうした動きは日本にも現れている。バブル崩壊後は、日本の雇用システムであった終身雇用・年功序列、年金・社会保障制度、専業主婦といった総中流社会が崩壊し、派遣切り・成果主義、少子高齢化、共働きといった格差社会へと変化した。人々は将来に不安を感じ、ばらばらの個々が社会に浮遊するようになった。

 そこに世界的脅威として突如現れたのが新型コロナウィルスだ。新型コロナウイルスは、感染しても発症しないケースもあることでその感染対策は難航を極めている。例えば、都市のロックダウンのように感染防止対策を強化すれば経済が止まり、経済活動を優先すればオーバーシュートによって医療体制が崩壊する。日本政府も各自治体も施策は統一感がなく、リベラルな権力批判の構図も崩壊した。また、「ポスト真実」時代に人々は様々なレベルで不信感と疑念を抱いている。市民が政府を頼らずに独自防衛策を取るようになり、「コロナ警察」やネット上での感染者の人権侵害などを正当化する、またはされているこうした雰囲気はコミュニティーや居場所の分断を導いている。新型コロナウイルスの押さえ込みに成功しても、環境破壊によって人間が未知のウイルスに接触する機会が高まっている。アフターコロナの時代には、格差社会とAI問題をどう対処していくかも忘れてはいけない視点だろう。総じて言えば、新型コロナウイルスは、グローバル競争社会の負の側面を炙り出した。

 私の専門が教育であるので、視点を教育現場に移していく。新型コロナウイルスによって、多くの学校が休業に追い込まれた。上層部の意見は数時間ごとに覆り、大混乱に陥っていることは容易に予想された。しかし、休校期間中の遠隔指導はなかったかのように扱い、長期休暇にも授業が組み込まれた。授業をすれば学力が上がると思っていれば大きな幻想で、教職員はさらに疲弊し、生徒にも大きな負担となっている。入試日程も不透明で、大学共通テストでは日程が複数あり、戦略の立て方が難しい。そうでなくても受験生は、英語の民間試験活用、国語と数学の記述試験の廃止、さらには総合型選抜入試(AO入試)での学校生活の記録の不明確さ(特別活動や部活動等の実績記録の未反映等)に直面し、とにかく不運の年度と言わざるを得ない。私立学校ではオンライン授業を取り入れてこの難局を乗り越えようと奮闘している。そういった意味では公立(都立)の学校ではICT教育の機能不全が浮き彫りになってしまったと言わざるをえないだろう。ちなみに、英語教育、特に英検協会の対応も場当たり的な対応が多く、これからの英語教育の先導を担ってもらいたいだけに迅速で合理的な指針と計画等を立ててもらいたい。

 もう一度、グローバル化と日本社会に目を向ける。SARSでも中国は隠蔽を図ったが、一転して協力姿勢を見せて世界的に感染防止に取り組んだ。同じことがCOVID-19にも言えるのではないか。世界的な問題は世界で一丸になって取り組まないといけない。新型コロナウイルを完全にコントロールするには、治療薬やワクチンの開発が急務だ。これがなければある一定の数の感染者が抗体をもつ世界的な集団免疫を待つしかなくなるだろう。これは日本全体に言えることで、統一感のない中途半端な緊急事態宣言やアラートを出すくらいなら完全に押さえ込むまで徹底的にやるべきだ。Go To キャンペーンややる一方で、帰省や不要不急の外出は控えるというのは明らかにおかしい。もちろん経済的な打撃は計り知れないが、だからこそ、政府や自治体、医療関係など統一した合理的な采配が求められている。

 新型コロナウイルスに対して、これが正解答者は医学的にも経済的にも明らかにされていない。何をやるにしても犠牲は伴うだろう。だからこそ、WHOといった世界的期間から個人レベルまで問題意識の共有と、持続可能な施策と実行力が求められているのである。

 

 (コロナ感染対策のソーシャルディスタンス

  東京都内のスターバックス  2020年8月1日撮影)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※参考文献

大堀精一、(2018 5 10)、『小論文の書き方と考え方』講談社選書メチエ

 

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