釣り 〜初級編〜

(イスズミ~記念すべき最初の出会い )
一番自分が趣味として選ばないだろうなと思っていたのが釣りだった。人間の快楽の理由で生き物の命を粗末に扱うのではないかと思っていたからだ。ところが知人の影響でなんとなくサビキ釣り(餌をまいて魚を集め、複数の針がついてる仕掛けを垂らす)をしたところ、いきなり中型のイスズミを釣ってしまった。塩焼きにして食べると美味だった。(息子の1匹目はミナミハタンポ。)それ以降も、ミナミハタンポやカマスなどが釣れ、ギャンブルに似たような中毒性があるのか、完全にハマってしまった。


(上:小型のミナミハタンポと長細さに驚いたカマス)
(下:イサキ~初心者用の竿で釣れたときの驚きは忘れられないヒレキントキ)
アカハタやイサキといった中型の魚が釣れるようになった頃に、別の知人から大量の釣具を格安で譲ってもらった。それをきっかけに入門者用の釣具からよりしっかりした装備を準備するようになった。最初はほとんどの釣具の意味が分からなかったが、今でこそほとんどの意味や使い方を理解した。また、虫ヘッド(重りと針がセットになった仕掛けで、岩陰や堤防の壁際に落とす方法)を使い始めると、日の出や日没後(前者は最も釣果が期待される時間帯が朝まずめよ呼び、後者はと夕まずめと呼ぶ)に根魚(海底に住む魚)を高い確率で狙えることが分かった。実際、オオスジイチモチ、ゴマヒレキントキからスベスベマンジュウガニ(筋肉に猛毒のある魚)までいろいろな海の生物が釣れた。釣果(その日の釣りの成果)は「アングラーズ」というアプリで記録し、新しい魚種との出会いを楽しんでいる。


(上~まな板からはみ出すサイズのゴマサバ)
(下~春先に運良く釣れたアカイカ)
次のフェーズは、ゴマサバのカゴ釣り(リールから出ているラインに天秤をつけ、一方に餌を詰め、もう一方に針をつけて魚を釣る方法)だった。しかも最初に釣ったゴマサバは、サイズが43.5cmで674gで、浮きが一気に沈むのを見たときには興奮した。今までの虫ヘッドなどとは違い、そこそこの重量感のある魚を狙うことになる。その後も、サバの2匹同時に釣れた時の総重量は1kgを超える。春先にはアカイカ釣り(場所によっては別名があり、ケンサキイカと呼ぶ地域も多い)も始めた。特に、アカイカは高級で、多くの人がエギング(スッテと呼ばれるエビに似せたルアーの背中に餌を載せ、水中または水上で光る電気浮き、またはケミホタルと呼ばれる使い捨ての蛍光浮きを使う釣り方)で狙う。釣ったアカイカはチルド便で離れている両親や親戚に送れると喜んでもらえるのも良い。
ここまでくると知人曰く、ムロアジとフグ、そしてカンパチが釣れれば中級者だねと言われた。実はこの時点で息子はすでに最初の2種を釣っており、少しだけうらやましかったもだ。しかし、朝まずめでシュアジギング(沖から金属製のルアーを投げる海釣り)をするちついに人気魚であるカンパチ、41cm、839gが釣れた。遠投用の重い竿を使ったので思った以上にうまく引き上げられた。


(上〜小さいカンパだが自分には特大)
(下〜遂に釣り上げた待望のムロアジ)
そして、その時は遂に来た。クサフグ(とりあえずフグだが毒を持っている)とムロアジが釣れたのだ。その記念すべきムロアジは、オキアミ(プランクトンの一種で小型のエビに似ている)で撒き餌(オキアミを長方形に冷凍したもので、解凍してから撒くことで魚を集める方法)に下田バケで引っ掛けた。実はここでで欲が出てしまい、泳がせ(生きたムロアジなどの生き餌に針を掛けて放流し、それを餌にするカンパチなどの比較的大きい青物などが飲み込むのを狙う釣り方)に挑戦し、失敗して出会えたムロアジを逃してしまった。ただ、ひとまずこれで自他共に(?)に中級者ということにしてしまおうと思っている。
さて、釣った魚はのその場で締めたい(鮮度を保つために殺す)。氷締め(クーラーボックスの氷水に入れる)、活け締め(ナイフで即死させて血抜きまでをする一般的な宝保)や神経締め(針金等で脳を破壊する)ろいったものがある。逆に、海渭水に放置していくと酸素不足で死んでしまうが、その時の苦しさで旨味成分がなくなてしまうからだ。ただ、その締めが出来ないのだ。自分の手で殺めて、命を頂くことに抵抗感がある。情けない話でもあり、そんな自分に嫌気が差すことがある。いずれにしても、稚魚や食用としない魚はリリースする。そうでなれば、キャッチアンドリリース(魚を逃げしてあげることだが、針が残っていても自然に取れるので致命傷になっていない)にすれば良い。それでも、新しい魚や持って帰りたい時は、有り難く頂くようにしている。食べ残しはせずに「いただきます」の意味を醸しめる。ただ、「好きなこと(趣味)」に合理的な説明が出来ないのは自己矛盾である。
それにしても、釣りは楽しい。美しい自然の中で、雑念が消えて時が経つのも忘れてしまう。魚が掛かったときに振動は病みつきになってしまうし、魚を美味しくいただく喜びもある。どの世界・業種でも同じであるが、釣りの世界も深い。を上げたいし、いろいろ知識やマナーなども勉強していきたい。どこまでが上級者かわかることも上級者への道かもしれない。でもいつかは川釣りにも挑戦したいと思うこの頃だ。
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今年の元旦の記事「謹賀新年 2022」では、”The Tiger who Came to Eat”(『おちゃをのみにきたとら』)を紹介した。物語の概要は、虎が突然ある一家に押し入り、食料を食べ尽くした挙句に立ち去るが、それでも家族の幸せは続くというものだ。それにしても虎の所業は図々しいにも程があるが、結局は子どもの読む空想の世界だと思っていた。 現実は虎の非礼をはるかに超えている。国際法を無視し、