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​英検1級対策講座

 

    1.  はじめに(英検1級対策)

 2. 1次試験対策

  Reading Section

   1語彙・熟語選択問題

   2長文空所補充問題

   3長文内容一致問題

  Writing Section

   4自由英作文

  Listening Section

    Part1 Short Conversation

       Part2 Academic Passage

       Part3 Real-life Situation

       Part4 Interview

 3. 2次試験対策

  Speaking Section

       日常会話[Free Conversation]

    2分間スピーチ[Speech]

    質疑応答[Interaction]

 4. おわりに(英語学習法)

1. はじめに(英検1級対策)

 実用英語技能検定試験(通称、英検)は日本英語検定協会(文部科学省後援)実施の英語4技能検定試験である。英検1級は国内の英語検定試験の最高峰であり、英語に従事するもの、特に中高の英語教員であれば持っているべき資格である。

 2004年度に自由英作文導入などの問題形式の大幅な改定があり、また、2016年度に偏差値を活用した新評価基準(CSE)を導入したことで合否はスコア返却まで不確定な状況となっている。ただし、1次試験の正答率75%あれば2次試験の準備をすべきである。最終的な合格者は850〜950人程度で合格率は約8〜10%である。難易度は、国際標準規格[CERF]によると、TOEIC 945以上、TOEFL 110以上と定義されている。

 今後の英語教育の動向等を考えると英検の試験形式・内容はバージョンアップされていく可能性が高い(2015年度第3回現在)。いずれにしても大切なことは、正しい英語学習方法で一般的な英語力を確固たるものとし、「左から右、上から下への処理の自動化」を目指すことである。学習方法については、「4.英語学習法」、およびArchivesを参考にして欲しい。

  Seize your Sky!!

2. 1次試験対策

Reading Section

 合格点は毎回一定であり3技能のCSEが2550点満点中2028点以上である。

 

1 語彙・熟語選択問題

 目標時間:12.5分

 語彙・熟語問題は、「知識問題」であるため、試験場では余計な考慮時間を取ってはいけない。1問30秒で解く。特に、最初の数問は設問文が難しい場合が多く、1ページ目でペースをつかむ必要がある。

 選択肢は、否定語や対比・比較等に注意することで真逆の意味の選択肢を入れないように注意する。熟語の問題は群動詞であるが、特に前置詞(または副詞)の持つ心象[イメージ]から正解を導けることもある。この熟語の問題は、筆記試験の中で最難関であるため、実際は4問中2問正解できれば満足すべきである。

 英検1級の語彙・熟語問題の最大の特徴は、『英検1級パス単熟語』(旺文社)から、約6割出題されるということである。すなわち、理論的には25問のうち14問は正解し、残り11問を恣意的に選んでも3問は正解できるので、16点以上は正解すべきとなる。さらに、それ以外の問題は、過去問の問題の選択肢で出てきたものがほとんどである。

 従って、語彙・熟語問題を攻略すべき勉強法は、『英検1級パス単熟語』をまず完璧に暗記し、過去問を遡ることである。

 この語彙・熟語問題は難度が高いと言われることがある。しかし、それらは一般的な教養としては特異なものではない。むしろこの語彙問題が得意分野で安定すると、長文読解及びリスニングの飛躍に繋がる重要なパートである。

 

2 長文空所補充問題

 目標時間:14分

 基本は3段落からなる文章に、それぞれ空所が1つずつある。すべて文脈から適切な語句を入れる「理解問題」である。パラグラフごとに、ロジックに沿って空所を補充するのが大原則である。また、解答の根拠は、基本的に空所のある段落にあり、解答作業は段落毎で完結できる。ただし、第2段落以降は、第1段落の内容やロジックを前提としているため、以降の設問を恣意的に解くことは望ましくない。2つあるパッセージのうち前半の方が、若干難度が高いといえる。

 このため、パラグラフ・リーディングで英文の基本構造から空所を埋められる。メインセンテンス[A]→サポートセンテンス[A’]→[A]、特に、<主張・抽象>→<サポート・具体>の相互関係から判断する。さらに、接続詞や相当語句等(特に逆説・順接等)や、+(positive)/ −(negative)による比較・対象などから選択肢の語句を絞り込むようにしたい。

 ロジック問題は、自己修正が難しく、CSEスコア導入後は自己採点が不可能であるため、問題の比重が見えない。そこで、14分で6問中4問以上を目標にし、残りの時間は情報検索問題[3]に割きたい。

 

3 長文内容一致選択問題

 目標時間:40分

 450ワード前後のパッセージが2つ、800ワード程度が1つ出題される。設問はそれぞれ3問、4問であり、解答根拠が複数の段落になることは基本的にない。450ワードのパッセージでは、段落数は3〜4であり、もし3段落であれば、各パラグラフで設問を解く。4段落であれば、どれか1つ段落が直接設問に関係ないものとなる。(例えば、1段落目が設問に関係ない場合、それはロジックを追うための「前提」として捉えれば良い。)800ワードでは、段落数が多いので、どこが解答の根拠となるかを見定めるのが勝負となる。残りの設問と段落で読解スピードを調整することもできる。

 設問の正解の選択肢は本文で述べられている内容の言い換え、要約や主題になっているとともに、誤りの選択肢は原則本文に根拠がないものである。特に、リード文の固有名詞や”〜”などはランドマークとなるため、本文を読む前にパッセージのどこにあるかを確認しておくことが重要である。

 大学入試等の一般的な読解問題であれば、私が提唱するPINPOINT解法を用いるべきだが、上記の特徴を踏まると、この大問は以下のように解くことになる。

 ⑴設問のリード文を読み、キーワードと探すべき情報を予測する

 ⑵段落ごとに解答の根拠があるか検索する

 ⑶正解の選択肢は本文の言い換えであり、消去法を用いて選択肢を確認する

 細かいテクニックになるが、語句説明に分類される設問は、不定冠詞は直後、定冠詞は直前を見る。また、450ワードの第1問目は難度が高く設定される傾向にあるため、リズムを崩されると時間切れになる。同様に、800ワードでも1つ目の設問が難しくなることが多く、ときには解答根拠が中盤に来ることもあるので注意が必要である。そこで、2つめの設問を読んでおくことで読み過ごしに気づけるのである。

 問題文が難しい場合は設問が易しく、そのまた逆も真である。ただ、正しく読めば比較的得点が取りやすい箇所であるので、最後まで粘って9割は正解したいところである。

Writing Section

4 自由英作文

 目標時間:30分

 社会的な議題に対して200〜240ワードの英文エッセイを書く。現在(2016年度第3回)の採点基準では、リーディングとライティングが同一時間内で解答しなければいけないにもかかわらず、ライティングだけで全得点の33%を締める。さらにこの分野の得点が合否に最も影響が出ることを考えれば、ここに十分に時間を掛ける価値があり、リーディングセクションの一部を捨てる作戦も考えられるだろう。英検協会から出ている模範解答を目指しても不可能であり、むしろ確実に高得点を狙う書き方が現実的である。

 目標時間が30分あるとはいえ、その場で主張する内容を精査し、新たにロジックを組む余裕はない。そこで、ロジックの型をある程度準備しておき、可能な限り議題に合わせて内容を当てはめるようにする。ロジックのパターンは、優劣比較型とそれ以外の型で分けるが、特に、前者の型の場合、2つの立場を記述した上で優劣をつける必要があるので注意が必要である。

 この分野で確実に高得点を取る方法は、3つのPOINTをサポートする際に、具体的なデータ・根拠を提示するとともに、個人的な体験談を含めることの2つを挙げる。そのために、2次試験のスピーチを視野に入れながら、できる限り多くの背景知識を身につけ、整理しておくことが勝負となる。分野としては、⑴政治、⑵経済、⑶教育、⑷医学、⑸科学、⑹環境、⑺文化、⑻家族・年齢、⑼メディアの分野である。

 Archivesにロジックの組み方の例を紹介しているので参考にしてほしい。満点は無理かもしれないが、確実に時間内に合格できるロジックであると考えている。

 

 

Listening Section

 前提として、「聴こえれば解ける」のがリスニング問題である。テクニックに依存せずにバランスよく学習すべきである。

※準備時間

筆記試験の後、リスニング問題が始まるまでおよそ2分である。その間にすべきことは、問題文や選択肢に見慣れない固有名詞などがある選択肢を確認しておき、該当箇所で話題についていけるように準備をしておくことである。なぜなら、リスニングの選択肢は、言い換えや要約となっているが、数問は巧妙な表現を用いることで難度を高くしているからである。

 

Part1 Short Conversation

 最大の攻略法は、近年は過去問からの出題が多くなっているので過去問を解くことだ。近年は9問程度同一問題である。戻る範囲としては、英検大幅リニュアール後の2004年度第1回目までで、一部ナレーターを変えている場合もある。いずれにしても、設問を見た瞬間に問題が分かるようしておけば良い。

 新規の問題は、ナレーターの声の調子や雰囲気を踏まえて正確に聞けば答えることができるものが多い。(理由は不明であるが、この傾向も変わる前に合格しておきたい。)とにもかくにも、2004年まで過去問を遡って出題隅の問題は満点を狙うということである。

 

 

Part2 Academic Passage

 2段落(または3段落)の文章が流れるが、2つの設問はそれぞれ前半・後半の要点が分かれば解けるものである。2つに分断し、それぞれの要点を押さえる。そこで、ロジックの流れに乗り、スクリプトはわからないので段落数は見えないが、レーターの息継ぎやディスコースマーカー、内容等で前半・後半の切れ目が推測できる。質問文は細かい内容を聞かれることは稀であり、また、基本的に誤りの選択肢は本文に合わない記述(すなわち部分的にも本文に整合しないもの)である。質問文が正確に分からなくとも、内容・要旨から誤りの選択肢を除外していくこともできるだろう。

 こんパートは、「聴く長文」であり、長文読解の内容一致選択問題に似た解法が使える。従って、この両者の正答率はリンクするといえる。

 ただし、独特の傾向もある。それは、設問の解答根拠は、逆説や結論等を表すディスコースマーカー等の直後、最上級が使用されたセンテンス、並列や列挙で提示された内容の要約(特に後半の内容)、現状からの将来の展望等の内容、ということである。

 

Part3 Real-life Situation

 英検1級リスニング問題の中で最難関の問題である。5問中2問を最低ラインにし、3問正解出れば合格にグッと近づく。音声を聴きながら、順番とは限らない選択肢を吟味していく。ただし、過去問で似たようなシチュエーションもあるので過去問で形式に慣れてく。ひっかけやトリーキーな問題が多いところである。

 

Part4 Interview

 最も日常的な会話がされており、口語的でアクセント・文法等が崩れやすい傾向にある。インタビューアーの質問に対して、ある職業や立場の人が答える対談形式であるが、設問はそれぞれの質問の要点を押さえられれば解けるものが大半である。例えば、4つの問答があれば、設問はその4つの回答の要旨となる。Part2と同様に誤りの選択肢は本文の事実と異なるものである。

 普段の英会話でも、話しても聴き手も言い澱みや突然の言い換え、気持ちによる調子の変化などを経験する。つまり、この問題は日常的なスピーキング力の経験値も求められていると言えるだろう。

 

 

3. 2次試験対策

Speaking Section

 自由会話・2分間スピーチ・質疑応答の順に行い、⑴スピーチ、⑵質疑応答、⑶文法・語彙、⑷発音の4分野をそれぞれ10点で評価し、850点満点に換算し602点である。(諸事情により、以降の説明は一般論に止めておく。また、他の級に関する2次試験の問い合わせ等も基本的に回答出来ない。

 

1 日常会話 [Free Conversation]

 想定される最初の質問は自己紹介である。その後に続く質問も関連した内容になることも考えて準備をしておくべきである。

 

2 2分間スピーチ [Speech]

 まず、カードを渡されてトピックを選び準備するのが1分である。優先順位としては、[1]過去に挑戦済みに近い質問、[2]得意分野、[3]答えられる質問、になる。特に、15秒を目安に質問文の時制や趣旨を正確に捉え、スピーチ後の質疑応答を考えても「自分の土俵」に誘い込めるようにする。残りの45秒で自分の意見の大意を2つ考え、あらかじめ用意してあるロジックのどこに客観的証拠事実と個人の体験を入れ込むかを考えるのが最大のポイントである。結局のところ、安定した説得力のあるロジックの組み方は、英作文と同様である。

 2分間スピーチの議題は社会問題等の教養を求められるため、即興で答えるには難しいものが多い。そこで、あらかじめ十分な下調べと練習量が必要になる。資料整理は、1次試験の英作文でまとめたもののうち、より答えやすい2つのサポート、特に自分の体験談が含まれているものを優先に選べば良い。従って、引き続き9つの分野の背景知識等の整理が重要になってくる。

 2分間スピーチは、ゆっくり落ち着いて論旨を組み立てることを意識する。手元の時計を見ながら、Introduction 0:00〜0:15、Body(1st) 0:15〜1:00、Body(2nd) 1:00〜1:45、Conclusion: 1:45〜2:00 とタイムマネジメントをすればバランス良く主張を述べられる。最後は、何も言わなくとも下げ口調にすることで引き締まった余韻を残せるだろう。

 

3 質疑応答 [Interaction]

 2分間スピーチの中で、スピーチではうまく話せなかった部分やより議論を深めるために一定の時間が来るまで行われる。簡潔な譲歩の表現を除いて、主張が伝わりやすいように常に結論から述べ、建設的な議論を楽しみたい。

 

 

4. おわりに(英語学習法)

 英検1級のテクニックに頼りすぎて、英語力の向上を怠っては本末転倒である。小手先のテクニクだけで点数を取ろうとすることは、逆に遠回りになってしまう。英語学習の理論と、その実践方法の概要を紹介する。

 

《英語学習の理論》

 英語と日本語の最も大きな違いの1つが単語の配列である。日本語は、「主語[S](+α)+動詞[V]」を基本とし、助詞のおかげで語順が比較的自由である。一方英語は、S[主語]+V[動詞](+α[要素])」の語順を基本にした4つのパターンSV, SVC, SVO, SVOの4つ(ただしSVOCはSVOの派生)で、語順の置き方で意味が決定されていく。従って、中級者は、意味をサイト単位[意味のあるかたまり]で処理をしていくことである。結局、英語力とは、英語を語順通りに処理をしていく技術のことであり、「左から右に、上から下に」「自動化された反射能力[Reflection]」である。そこで、最も有効な勉強方法は「音読」と「矯正(暗記)」である。Inputの技能である読む・聞くの技能向上のためにには音読をすることで英語の語順で理解することともに、Outputでは経験を積んで自然に言葉が出てくるように訓練を積む。

 語彙は、実践を通してその都度覚えていくのが良い。単語帳は特定の試験前に総復習・確認として使用するべきである。(ただし、英検1級は先に単語集を終わらせるのは有効である。)ちなみに、辞書は検索時間省略を考えて電子辞書やオンライン辞書を使うことを薦める。

 文法は、⑴4つの文型、⑵修飾方向、⑶配置転換、⑷時制、の4つをイメージを通して理解する。感覚的で俯瞰的な理解と訓練こそが反射的に英語を用いることと同義である。『ロイヤル英文法』『1億人の英文法』は必須の参考書である。

 

R Reading / L Listening  《受信型》

 参考書は2冊用意し、1つは書き込み用、もう1つは音読用として、以下の手順で訓練する。

《英語学習の実践》

<Reading>

 ⑴ 時間制限、辞書・参考書等なしで解く

 ⑵ 無制限、辞書・参考書等ありで解く

 ⑶ 他者に答え合わせをお願いし、可能な限り自力で解く

 ⑷ 解答・解説を読み、辞書・参考書等で朱書きをしながら理解する (PINPOINT解法で解説の向こう側を読み解く)

 ⑸ 朱書きの英文を体に馴染むまで音読する

 ⑹ 白文の英文を体に馴染むまで音読する

 

<Listening (DLOS勉強法)>

 ⑴ 1度だけ聞いて理解力を確かめる

 ⑵ 回数無制限、辞書・参考書ありで聞く

 ⑶ ディクテーションをする【D】

 ⑷ 再度、リスニングをしてみる【L】

 ⑸ オーバーラッピングをする【O】

 ⑹ シャドーウィングをする【S】

 

 

<Writing / Speaking>  [発信型]

 発信型の場合、勉強法が共通している。以下の3点を意識しがら、矯正(暗記)していくことが重要である。文法的にはあっていても英語の表現として正しくないものが多い。例えば、コロケーションである。ネィティブスピーカーに矯正してもらいながら言い回し等を真似ることで正確さが増す。そして、矯正された表現は音読し、暗記していくことで表現の幅が増えていくのである。また、以下の2点を踏まえると習得がより早くなるだろう。

 ① 思考の単純化[simplification]:日本語と同程度の表現で英語を使おうとすると無理が生じるので、いかに簡単な表現で言い換えできるかを考える。

 ②ロジック(型)の活用:A→A’→Aのようなロジックを組むことで限られた条件の中でも正確でシンプルな主張等を伝えられる。

 ③不完全性:完璧な自分を求めず、あくまで第2言語の使用者としての流暢さと正確さを求める。

  以上を踏まえて、できるだけ多くの場数を踏む。考えるよりも体が自然に動くようにしたい。

 

 

 最終的には、語彙力、背景知識、練習といった訓練の継続(=量)が重要となってくる。

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 ArchivesにはWritingとSpeakingの模範解答などのとっておきの情報があるので参考にして欲しい。

 

  Seize your Sky!!!

 

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