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『ほしのこえ(オリジナル版)』〜切なさと希望と〜

 「セカイ系」という言葉がある。その定義は様々であるが、主人公の行為が自己完結せずに世界の運命を決定するという理解が一般的だろう。その代表作として語られる映画が『ほしのこえ』だ。「世界って言葉がある」というフレーズからこの映画は始まる。「セカイ系」という世界観はこの映画の冒頭から始まったのではないかと思えるぐらいほど、衝撃的な始まりだ。

 この作品は、『君の名は』『天気の子』で有名な深海誠監督の処女作である。多くの人が驚嘆するのが、脚本・美術・演出等をほぼ一人で行ったを自主制作ということだ。ストーリーや背景美術など、随所に新海誠監督の魅力が詰まっている。そういう理由で、素人っぽい感じの女性の声優の声も含めてオリジナル版に魅力を感じる。舞台は2046年の近未来で、タルシアンという地球外生命体を追う少女と、地球で彼女のメールが送られてくるのを待つ少年の切ない恋物語で、「私たちは、たぶん、宇宙と地上に引き裂かれた最初の世代だ。」がキャッチコピーになっている。24分の短編であるが、巧みなストーリーラインや美しい描写など、日本アニメの新しい流れを確固たるものとした金字塔である。

 メールを送り合う携帯電話が21世紀初期の古めかしいものであるが、そもそもこの作品が2002年に発表されたもことを考えると、逆にその時点でこれだけの最新技術を創造することの方に驚きを感じるべきだろう。2人の距離が離れるごとにメールを送り合う時間が「永遠」に掛かってしまうことに切なさが増す。愛する人と日常を過ごし、気持ちを伝えることの意味に気づけるだろう。

 最後のシーンは圧巻だ。これまでの記憶や気持ちが一気に吹き出し、それでもお互いが自分の存在を信じ合うことでアイデンティティをなんとか残しているように見えるからだ。そして、さりげなくも緻密に計算され、受け手に解釈を委ねるところも新海誠監督らしい。だから私は、途中で出てきたタルシアンの左手の薬指を見るととても希望のある映画ではないかと思うのである。







※参考文献

新海誠、(2002・2・2)『ほしのこえ』(オリジナル版)、MANGAZOO.COM

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