Tom
- Apr 25, 2021
3度目の緊急事態宣言に思うこと
早稲田大学の総長である、田中愛治は2020年度の入学式辞(実際には9月にオンライン)で「未知の問題に対する解決策を自分の頭で考える力」を「たくましい知性」、「国籍・人種・言語・宗教・文化・信条・障がい・性別・性的指向などが自分と異なる人を受け入れ、理解し、敬意を表すことができる感性」を「しなやかな感性」と呼んでいると述べている。新型コロナウイルスの終息が見えない時代により求められる力と感性であろう。 「受験勉強だけの1年間の後に、友達をつくることするできない」「ようやく入寮できたのは(入学後4ヶ月後の)9月」「(中国出身の留学生は)中国人同士でも日本語を話した」「留学を諦めるという判断をするしかなかった」。これらは第2回の緊急事態宣言下の2月の発言である。学生生活という青春から色彩が消えていった虚無感や失望感が伺える。 こうした現場や日常生活の声は届くことはないだろう。3度目の緊急事態宣言が発令された。この後に及んで東京オリンピック・パラリンピックを平常開催しようとしている。蔓延防止重点措置と緊急事態宣言の区別も明確でないまま局面は進みんでいる。
Tom
- Apr 24, 2021
一流選手のメンタル力
東京オリンピックが新型コロナウイルのために平和の祭典は延期となった。社会的に大きな影響を与えたが、それは日々競技に深刻に打ち込む選手にも精神的に大きなものであっただろう。例えばハンドボールの東江悠斗は、「五輪が延期になったから成長できる」とあくまで肯定的に捉えている。一流の選手の言霊は違うなと思った。 池江璃花子選手日本選手権の女子自由形決勝で代表内的基準のタイムをクリアし、リレーメンバーとして五輪代表に内定した。池江選手といえば、複数の種目で日本記録を保持(2021年4月現在)、国際大会等でも輝かしい結果を残した。しかし、2019年に白血病を発症し、治療に専念するために表舞台から姿を消した。一度はオリンピックを諦め、次のリオオリンピックを目指したにもかかわらず、再び五輪代表に戻って来たのだから快挙としか言いようがない。 白血病や様々な病気に苦しむ患者には大きな希望となったことは容易に想像できる。彼女の場合、抗がん剤などで一時は15キロも体重が落ち、高校の卒業式も出席できなかった。その治療がどれほど厳ししかったそれだけで十分に伝わってくる。 「結

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- Apr 3, 2021
『天気の子』(感想編)〜愛と世界、選択の物語〜
英語の時間に「My favorite movie or book」というテーマでスピーチ(プレゼンテーション)させた。その中で、映画『天気の子』(Wethering with you)の紹介があり、設定されている場面のほぼすべてに土地勘があったことが視聴するきっかけだった。しかし、それは単なるエンタメ作品ではなく、深い意味を持った愛の作品だったのだ。 監督は新海誠で、前作『君の名は』(Your Name)は有名だろう。キャッチコピーは「これは、僕と彼女だけが知っている、世界の秘密についての物語」で、主題歌はRADWINMPS「愛にできることはまだあるかい」である。ストーリーは離島を助け出した家出少年の穂高が、部分的に悪天候を晴天に変える能力を持つ「晴れ女」陽菜と出会い、困難を乗り越えてたどり着く恋愛物語である。というのが表向きのストーリーラインで、多くの場面に張られている絵やセリフの伏線が「愛の選択」の意味を考える最終話につながる裏の意味がある。無駄がない。 最終話の祈りに何を見出すかが本作の見どころだろう。特殊能力を失った陽菜が最後に祈っていた
Tom
- Apr 2, 2021
『決定版 上司の心得』・『リーダーが身につけたい25のこと』〜自分・チームそして組織の未来へ〜
人の上に立つのは難しい。個人的には今まで生徒会やサークル活動でリーダーシップを取ってきた経験はあるものの、職場となるとまた大きく違う。ましてや年齢的にも中堅になれば一定の責任や効率が求められる。そんな苦悶の中で組織運営に関する哲学と実戦的ノウハウに関する2冊に出会った。 『決定版 上司の心得』の著者、佐々木常夫は東レに入社し、取締役となった複数の社長の経験を記した著作物が多い。本書は「できる余分なことは書かずにエッセンスを抽出し、シンプルな言葉に収斂させていくことに努めた」(はじめにより)とある。一方、『リーダーが身につけたいこと25のこと』の鈴木義幸は、若い頃からエグゼクティブ・コーチとして多くの経営者と対峙して経歴を持つ。こちらは理論よりも「実際に試せる具体的な方法を提示」と前書きに書かれている。 別の著者で異なった視点であるが、共通する部分は多い。会社や仕事の意味を知り、リーダーシップの基礎基本を抑える。「自分の中に従うべき志」=「ビジョン」であり、それを他者にどううまく影響を及ぼし、協力を得るかということだ。また、部下を育てリーダーシップ