Tom
- Nov 25, 2022
クラシックにリクエスト
難解な頭脳戦では、ときに頭をクリアにすることも必要なのだろう。「ひふみん」の愛称で親しまれている本将棋棋士である加藤一二三(九段)は42歳で名人位を獲得した。2日制の名人戦(番勝負)では、その合間にクラシックを聴いていて、結果、名人位獲得の原動力になったそうだ。 ところで先日、母校の学園祭が行われたが、今年もハイブリッド開催だった。遠隔地にいてもメインステージや教室企画などが視聴できた。新型コロナウイル感染症拡大かすべて悪いわけではない。 クラシックは敷居が高く、敬遠されがちである。しかし、上記のようなハイブリッド開催など手軽なアクセスがクラシックをより身近なものにさせるかもしれない。ひふみんのようにクラシックを聴いてちょっとエネルギーをチャージしようてといった感じで。 GHF’03のメンバーにはクラシックに精通している人が多い。リサイタルをやっていて、それを見に行ったこともあるが、やはりプロは違うなと驚いたものだ。メンバーからのリサイタルのお知らせがあり次第、報告したい。 ※参考文献 早稲田大学校友会、(2022・2)『早稲田学報』
Tom
- Nov 16, 2022
「不可能なことだけが危機をこえる」(『思想としての新型コロナウイルス禍』)〜コロナ禍に立ち向かう基本ロジック〜
新型コロナウイル感染が世界中に拡大し、医療・経済・教育などあらゆることが変化し、多くの議論が行われている。現実問題として医療や経済などに目が向かいがちであるが、終息する気配もなく、どこが退廃的な雰囲気が醸成されているのはなぜだろうか。 大澤真幸の論考「不可能なことだけが危機を乗りこえる」(『思想としての新型コロナウイル禍』)はその中でも社会学の視点で論理的にコロナ禍を考察し、今後の展望を述べている。キーワードは「連隊・人新生・倫理・神的暴力」だ。これは『思想としての新型コロナウイウイルス禍』に収録された思想家・専門家による論考集の一つである。 本書には著者の説明が一切書かれていないためここで紹介すると、大澤真幸は、1958年生まれの社会学博士で、千葉大学文学部助教授・京都大学大学院人間・環境学研究科教授を歴任している。また、早稲田大学でも教鞭を執っているようだ。本稿のタイトルには逆説的な表現が含まれているが、中身もそれを多用した展開が多く、知識人が好むような表現スタイルである。 筆者はボーダーレスな問題にボーダフルに対応することとは解決への逆ベク
Tom
- Nov 15, 2022
コンピューターリテラシーの本質と展望
独立研究科の森田真生はエッセー州の中で次のように述べている。「コンピューターはあまりにもユーザーに寄り添い過ぎてしまった。便利になることはありがたいが、結果として私たちは、生まれ変わろうとする主体的な意欲を失っているのではないか」(『数学の贈り物』)コンピューターリテラシーを身につけ、高い水準で思考できる人間育成の必要性を説いている。私たちはこうした状況で社会をどのように構築していけるだろうか。 従来の文字文明との違いを考えたときに、コンピューターを扱う際に蓄積できる情報量は人類にとっての大きな財産になるだろう。経済活動から自然現状など様々な情報を集約できる。今後はそうしたビッグデータを国際的に活用する方法を検討したい。例えば、医療現場で集めた情報によってタイムリーに現状分析と治療方針を決定できるだろう。 文字だけではない。動画はエンターテインメントだけではなくコミュニケーションの方法も変えた。出版できる人の数は限れていたが、今や個人のSNSなどで簡単に動画付きの情報を発信できる。そこでの情報を鵜呑みにせず、他者尊重と批判的思考を持って、社会問題
Tom
- Nov 1, 2022
『自分ごとの政治学』〜日常と死者を背負う政治行動を〜
選挙権の獲得の歴史を考えると、人類はこれまでの参政権を得るために多くの血流と失われた尊い命を失った。したがって、投票日に選挙会場に行かないことは歴史軽視でもあり、行使しなければいけない大事な権利なのである。そして、そのより根源的な政治の仕組みや、概念、哲学、日常との関わりを網羅的に学べるのが『自分ごとの政治学』である。 著者は1975年大阪生まれで、現在は北海道大学大学院法学研究科教授。専門は南アジア研究史、日本思想史、政治学、歴史学。ただし、本書は高校生なら2~3時間あれば十分に読めるような政治の入門書となっている。内容は、政治学の基本用語、例えば、「右」「左」、や「リベラル」と「保守」を簡潔な説明から、筆者の研究対象でもある「カンディー」の示唆は、今後の政治を読み解くキーワードになるだろう。 第4章「死者と日常の政治学」の部分も興味深い考察がされている。「民主」「立憲」という用語を切り口に「死者」との政治哲学までを提示してくれる。死者たちの思いを繋ぎつつ、日常から身近に政治を見ていく姿勢を大切にしたい。 普段から自分が死ぬことを念頭に、今、こ