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謹賀新年 2024

 あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。

 今年の干支は「辰」だ。辰はワニの顎や鹿の角などの複数の動物の部位を組み合わせたドラゴン[龍]であるとされ、十二支の中で唯一の架空の生物である。なぜ十二支の中に実在しない動物が入り込んだのかははっきりとしていない。ただ、この不思議な動物は自然なほど私たちの日常に溶け込んでいる。

 実態は良く分からないが、私たちの生活に不可欠なものは非常に多い。例えば携帯電話。ボタンを押すだけで遠く離れた相手と会話ができ、カメラで鮮明な写真が撮影もできる。しかし、その現象の理論を説明できる人はあまりいないだろう。近代社会には、実態は分からないけれど、それ自体が高度な文明を構成していることが多い。

 近年はこうした不確かさの次元がより高くなってきている。AIの進歩である。ディープラーニングによる機械学習は人間の手を離れて自律的に動くようになっている。原理的には人間の脳を模倣したニューラルネットであるが、その処理方法は人間にはよく分かっていない。つまりブラックボックス化しているのだ。これがAIに関する倫理的なガイドライン作成が喫緊の課題である所以だ。

 今年、AIはどこまで進歩するのだろうか。脳神経学、生物工学、倫理学などの研究者、専門家及ぼ関係者が総力を上げて創りたい最先端の産物は、このまましばらく架空のままでいるのか、それとも指数関数的な進化を遂げて私たちの空間をすっかり覆い尽くすのか。いずれにしても辰年に考えるべきことは、この「ドラゴン」をいかに操り、共存していくかである。この論考こそが人類の今後の発展に大きく左右するかもしれない。今日はそんな新時代の幕開けである。

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