
Tom
- Aug 16, 2021
『ほしのこえ(オリジナル版)』〜切なさと希望と〜
「セカイ系」という言葉がある。その定義は様々であるが、主人公の行為が自己完結せずに世界の運命を決定するという理解が一般的だろう。その代表作として語られる映画が『ほしのこえ』だ。「世界って言葉がある」というフレーズからこの映画は始まる。「セカイ系」という世界観はこの映画の冒頭から始まったのではないかと思えるぐらいほど、衝撃的な始まりだ。 この作品は、『君の名は』『天気の子』で有名な深海誠監督の処女作である。多くの人が驚嘆するのが、脚本・美術・演出等をほぼ一人で行ったを自主制作ということだ。ストーリーや背景美術など、随所に新海誠監督の魅力が詰まっている。そういう理由で、素人っぽい感じの女性の声優の声も含めてオリジナル版に魅力を感じる。舞台は2046年の近未来で、タルシアンという地球外生命体を追う少女と、地球で彼女のメールが送られてくるのを待つ少年の切ない恋物語で、「私たちは、たぶん、宇宙と地上に引き裂かれた最初の世代だ。」がキャッチコピーになっている。24分の短編であるが、巧みなストーリーラインや美しい描写など、日本アニメの新しい流れを確固たるものと

Tom
- Aug 1, 2021
新型コロナウイルスとAIの論点整理 2021
「WHOといった世界的機関から個人レベルまで問題意識の共有と、持続可能な施策と実行力が求められているのである。」(『新型コロナウイルスの理論整理 2020』)自分の文書を読み直して愕然としてしまった。結語の内容は、ほとんど解決されていないどころか、問題は一層深刻化しているからだ。そこに往年の「格差社会」と最新のAI議論が入り込みんだ。社会全体で問題意識の共有がより必要な時代となったきたように感じる。 まず、新型コロナウイルスは、私たちが気づきにくかった側面を露呈させた。国際的なサプライチェーンによる制限やインバウンドの後退等によって、各国の経済活動は大きく後退した。経済効率を優先することでリスク管理を怠ったことに起因する。今後はサプライチェーンに新たな付加価値を加えるバリューチェーンといった政策が求めている。世界規模の新型コロナウイルスは、一国でどうにかできるものではない。グローバルな問題にグローバルに対応することが基本で、むしろに自国の利益を最優先する「強い」政策は逆効果である。また、新型コロナに起因する社会不安や不満は確証バイアスをより強め、