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本物に触れること


 新年の行事で楽しみにしているのが大学箱根駅伝である。今年の総合優勝は青山学院大学だった。往路優勝の青山学院大学と2位の早稲田大学の差は33秒であったが、復路に配置される選手の総合力を考えると、すでに勝敗は決していたらしい。結果的には青山学院の圧勝であった。

 箱根駅伝では優勝争い以外にもあちこちでドラマが起こる。タスキが繋がるかどうかのタイミングで走者が中継地点に走りこむ姿に思わず力が入ってしまう場面の1つだ。箱根駅伝がここまで多くの人を魅了するのは、台本がない真剣勝負だからだ。皇居ランナーが増えるのはちょうどこの時期らしい。

 個人的には、本物に触れるという意味では、新年の祈祷を本殿で行うときも同じ感覚を持つ。学生の頃は、古典の授業を受けてもピンとくるものがなかったが、日本古来の建築物と囲まれ、神主とともに新年のお願いをすると、その当時の世界観を実感する。

 英語指導の第一人者である安河内哲也は、著書『できる人の勉強法』の中で「『本物』に触れる」ことの大切さを説いている。もし新年の誓いがマンネリ気味になってしまったならば、「本物」に触れることは1つの打開策かもしれない。テレビに映る学生のようにはいかなくとも、時には寄り道をしながらマイペースに走っていきたいものだ。

※参考文献

安河内哲也、(2006)『できる人の勉強法』


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