英語4技能育成の裏にある大切なもの
- Tom
- Nov 28, 2018
- 2 min read
新指導要領の実施に向けて、大学入試改革や移行期間における先行実施や移行措置等が行われている。特に「使える英語」を目指そうと、多くのメディアや研修等で英語4技能のバランスのとれた育成に取り組んでいる。しかし、そのために大切な事柄が置き去りになってしまわないかと危惧している問題もある。それは、言語を通して学ぶ文化や他者尊重等の視点である。
文部科学省初等中等教育局の直山木綿子によると、「小学校の外国語活動で使用するテキスト『Hi, friends!』の4年生の絵本には、『平和』というテーマが隠されている」という。「母語と外国語を使ってさまざまな人たちと折り合いをつけて、争いのない世界を作って欲しい」という願いは、まさにその通りではないかと思う。ここに外国語(英語)を学ぶことで見えてくる教養の帰結点が見えるのである。
現在も多くの高等学校では、リーディング用のテキストを用いて授業を行い、文法や内容確認を中心に定期考査が作られている。生徒の関心の多くは定期考査や大学入試等でのペーパー試験で点数を取ることである。本来なら、教科書で出てくるテーマをもとに4技能の授業が行われるべきで、例えば、ー現況では理想論かもしれないがー単元指導計画の中で読んだ文章に関する探究的なプレゼンテーションやディベートを通して、主題に関連する教養を教える機会を設定したい。「教科書を学ぶ」のではなく、「教科書を使う」授業で国際人としての世界平和の創造を目指したいものである。
毎月送られてくる雑誌『英語情報』2017年度秋号には、国際応用言語学会(AILA)の名誉会員称号授与者の小池生夫氏の特集が組まれていた。長年、日本の英語教育に貢献してきた応用言語学の大家である。本稿は、そこで語られた言葉で締めくくりたいと思う。
「日本人は…(中略)世界をよくしてほしい。困っている人に手を差し伸べてほしい。世界平和や人類の発展のために力を尽くしてほしい。」
※参考文献
直山木綿子、(2017 10)、『英語情報 2017年 秋号』「小学校 新学習指導要領に向けて 移行期に何をすべきか」日本英語検定協会
小池生夫、(2017 10)、『英語情報 2017年 秋号』「日本の英語教育のために自己の最善を尽くしてきた」日本英語検定協会








Comments