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『言の葉の庭』~デジタルビジュアルの最高峰~

 靴職人を目指している高校生タカオと人生の歩き方を見失った古文教師ユキノ。新宿御苑をモデルにしたこの2人の雨の日だけの逢瀬。そhしてそのほとんどの場面で雨。サブタイトルは「”愛”より昔、”孤悲”のものがたり」という新海誠らしい奥が深く、繊細な映画である。

 新海誠監督は、邦画史に残る記録と記憶を残る『君の名は』『天気の子』で有名だ。それらに続くこの作品もまたデジタルアニメーションの傑作で実写かと思われるほどに背景が美しく描写されている。音楽も穏やかに調和され、最後のクライマックスと絶妙にリンクされている。賛否両論分かれる意味深なストーリーラインも新海ワールドらしい。

 ※以下、映画の本編のネタバレあり。


 それが理由の1つなのであろう。俗な言い方だが視聴後の感想は「気持ち悪い」だった。高校生と教師という設定以上に背景に比べて人物の容姿は漫画らしく描かれているのだが、美しい大人の女性に対して少年があまりにも子どもの容姿である。自分の高校の生徒が学校をさぼっているのを横目にしながら飲酒が禁止されている場所でビールを飲んでいるといった細かい道徳的な観点や設定なども気になってしまった。この当時の監督はハイクオリティーなビジュアルにストーリーが追いついていないような気がしたのだ。

 ただ、最後のクライマックスシーンであるタカオの心の叫びと裸足の抱擁は感動的である。人生の一部分である恋愛という舞台に立つ前の2人、言い換えれば人生を歩けていない人間が織りなす孤独や悲しさを一気にまとめあげている。今までは水(雨)に流してきた事柄を収めたことで遠くから日光が2人を照らす。古典という言葉とデジタル技術を駆使した自立の応援物語である。

























(タカオとユキノが出会い、交流していく東家)


※参考文献

新海誠、(2013・5・31)『言の葉の庭』、コミックス・ウエーブ

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