top of page
  • Tom

ストゥーデントジョブ

 急ぎ足で早稲田大学の西門を通り、新築の11号棟に入る。エスカレーターを上がって3階に上がると商学部大学院の事務室がある。そこで出席カードと授業関係の書類を持ってあがる。邪魔にならないように一番前の右側に座り、先生が来るのを待つ。授業が始まって一定の時間が経ったら出席カードを順番に配っていく。そして、また数分後にカードを集めていく。狭い部屋ならあっという間だが、広い講義室だとかなり時間が掛かる。あとは、ひたすら難解な授業を聞くだけ。お金をもらって授業を聞くというありえない状況だ。

 会計科で公認会計士を目指すための講義は人数も授業数も多く、一番思い出がある。学問的理論の理解を深めるとともに、合格を目指すために実践的な内容であったのを覚えている。そこでは多くの専門用語が飛び交い、何を言っているのかさっぱり分からなかったけれど、なぜか楽しい時間であった。また、別の講義ではゲーム理論の話をしていたが、これは少しだけ分かったような気がした。ただ、いざ期末試験となるとたぶん単位は取れる気がしなかった。

 早稲田大学には、学内アルバイトとしてトゥーデント・ジョブとよばれる制度がある。「教職員と共に大学の構成員として大学を支える一員ち位置付けられ、学生参画・ジョブセンターが設置」されている。キャンパスツアーから早稲田ウィークリー学生スタッフまで様々な職種がある。

 西早稲田には早稲田大学の理数系学部が集まっている。どこか冷たい雰囲気でいかにも実験室という雰囲気だ。ある日、私は上の階に上がって行って、カメラの前に座って写真を撮られた。わずか数分の仕事。どうやら顔認証のデータ収集のようだ。ちょっと大学の裏側を見た気がした。


※参考文献

早稲田大学校友会、(2021・4)『早稲田学報』

6 views

Recent Posts

See All

謹賀新年 2024

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。 今年の干支は「辰」だ。辰はワニの顎や鹿の角などの複数の動物の部位を組み合わせたドラゴン[龍]であるとされ、十二支の中で唯一の架空の生物である。なぜ十二支の中に実在しない動物が入り込んだのかははっきりとしていない。ただ、この不思議な動物は自然なほど私たちの日常に溶け込んでいる。 実態は良く分からないが、私たちの生活に不可欠なものは非常に

今年の漢字2023

日本漢字検定協会が公募、発表した今年の漢字は、「税」だった。実は「税」に関する大きな施行はなかった。政府が財源確保のために「税」に関する議論が活発であったからだ。首相の今後の方針が憶測を呼び、「増税メガネ」という不名誉なあだ名までついてしまった。ただ、この漢字「税」は庶民が物価高から生活を切実に圧迫していることを表しているだろう。多くの国民は、他国の戦争やスポーツの偉業よりもまずは目の前の生計を立

「在野」で生きる

「在野」の意味は、辞書には「① 野外に居ること。田野の間に住んでいること、② 公職につかないで民間に居ること、③ 政党が政権をとらないで、野党の立場にあること、の3つが載っている。しかし、早稲田大学にとっては、交友(=卒業生)も含めて一般的な意味とは違う意味を持っていることが多い。それは、早稲田大学教旨にある「学問の独立」の「在野精神」としてであり、「自主独立の精神を持つ近代的国民の養成を理想とし

Featured Posts

Categories

Archives
bottom of page